「こぶとり爺さん」「耳なし芳一」「舌きり雀」と、ここまでは過去作と同様に昔話をモチーフにした欲とエゴ満載の謎解き短編なのですが、「三年寝太郎」と「金太郎」は連作になっていて、前者は笠地蔵と雪女をモチーフにした謎を解くj安楽椅子探偵モノで、後者は今流行りの特殊ミステリでありながらクローズドサークルに物理トリックとワクワク要素てんこ盛りかつ「そして誰もいなくなった」という古典ミステリまでもがスパイスとして加えられていて、このシリーズの最後を飾るに相応しい読み応えでした。
「そして誰もいなくなった」はまさにスパイスなんだけど、「舌きり雀」は「女か虎か」との合わせ技でして、ただでさえ昔話をよくもまあこれほどエグくアレンジするもんだなと感心しきりだというのにその世界観に欧米の古典をこうまでサラっと馴染ませる手腕はほんとうに凄い。