『どうする家康』第17話「三方ヶ原合戦」第18話「真・三方ヶ原合戦」

ここでOPを変えるよりもほかに手を入れるべきところはあるだろう

とは思うけど、前後編として三方ヶ原合戦は(これまでと比較すれば)よかった。

マジ糞すぎる前編を後編でカバーしたってのが正確なところだし、「合戦」描写はさわりだけであとは「三方ヶ原で本多忠真と夏目広次が戦死する」という史実をドラマ的に肉付けしてウェットに仕立てただけだったってか、三方ヶ原がまさか「夏目広次物語」という切り口で描かれるとはさすがに斜め上が過ぎるけど、『空城の計』を仕掛ける酒井忠次石川数正とそれを受ける武田軍、そして自分の時間は残り少ないことを“理由”として見逃す武田信玄と、この落としどころは見事と言っていいと思う。
そのなかでさりげなく、でもはっきり「足利義昭が三方ヶ原の時点では信長と切れている」と描いたことも。

敵を前にして甥っ子と長尺でごちゃごちゃ言い合った挙句「殿のことが大好きなんだろう」とか言っちゃうよいどれ叔父さんにはわたしの目が虚ろになったし、“敵から隠れてる”というシチュエーションなのにギャーギャー大声でわめく家康はドラマだからということで見流すとしても、なんの意味があるのかわからなかった“夏目の名前を間違え続ける家康”が“三方ヶ原”でその理由があきらかになるってのは1年という長い時間をかけてつくる大河ドラマだからこそできる仕掛けだろうに、毎度毎度「過去回想」をやるもんだからせっかくの仕掛けが「またか」にしかならないのはつくづく言葉選ばずに言うけど「下手くそ」なんだけど(だってそんな過去があるなら一向一揆の時になんで裏切った?となるでしょ。忠義と信心は別の話だというならまだわからなくはないけどあの時の夏目は殿の命よりも「一向一揆に参加してる知人を斬りたくない」という自分の気持ちを優先したとしか思えなかったもん。段階を踏むことなくいきなり回想として“実はこれこれこういうことがあったんです”ということだけ見せられてもその時何を思っていたのかまではわからないわけで)、でもようやっと忠次が本領発揮してくれただけでわたしは満足だよ。あと悲壮感を纏うゴードン勝頼カッコいいしな。こんなんで満足できるわたしでよかった(と思うしかない)。