ミュージカル『ジキル&ハイド』@東京国際フォーラム ホールC

演目に興味はあるのでいつか観たい次は観ようと思い続け一度も見ずに今日まできてしまったんですが、石丸幹二さんが今回公演をもってファイナルとのことで「次はない!」となり、ついに石丸ジキルを拝見することができました。
柿澤勇人さんのジキルも観たかったけど予定が合わず(もうちょっと公演日数があったらなー)今回は石丸ジキルのみの観劇です。

いやあすごかった!!。熟練とはまさにこのこと!!。
石丸さんが歌う「時が来た」はこれまで何度もコンサートで聴く機会があって、そのたびに「うまっ!!!!!」と言わされてきましたが、作品のなかで、流れのなかで、このセットこの衣装で歌う「時が来た」はコンサートとはまっっっっったく違う熱量で、ただただ圧倒され「凄い」以外の語彙を失う。
思った以上にジキル(とハイド)は歌いに歌いまくるんですが、まーあ全曲巧いし美味い。
熟練とはこのことと先に書きましたが、4回目の上演だけあって歌も演技もまさしく「完熟」してる。
初めて観たのに「完熟」してるってなんでわかるの?と思われるかもしれませんが、誰が観たってわかる。旨味が滴り落ちるほどジュクジュクだもん。

ジキルは“若き医者”であるわけで、石丸さんの円熟味はともすれば「若さ」と引き換えになりそうなもんだけど、これまた石丸さんはすごくてさあ、親友のアターソンは石井一孝さんだったんで問題ないとしても、ルーシーが笹本玲奈さんなのもまあイケるとしても、桜井玲香さんのエマとはさすがに釣り合わないんじゃないかと、下手したら親子に見えるのではないかと思ってたんだけど、そりゃまあそれこそカッキーと比べたら「年齢差」は出てしまうでしょうが石丸さんだけ観たぶんには違和感などなくて、それは足掛け11年?かけて培われた「熟練の技」なのだと思う。

原作のジキル博士は完全にクレイジー(な印象)だけど、石丸ジキルは石丸さんの持つ「品」が滲みでているせいか「壊れていく」というより冷静に「狂っていく」という感じがして、劇中では「善」と「悪」をわけると言ってはいるもののハイドは父親のことを含め自分の研究を認めてもらえないジキル博士の怒りや憤りが表出した存在でもあるように思えて、最後の瞬間まで芯の部分では理性を保ち続けているのではないかと思わされるところが哀しかったんだけど、鹿賀丈史さんから石丸さんにバトンが渡ったということは(日本版)ジキル&ハイドは“こういう感じ”が正統なのかな。いやでも怪人感全開の鹿賀さんは想像できるか。

いずれにしても石丸さんは「ジキル」が主であることは間違いなくて(わたしにはそう見えて)、対してカッキーの「ハイド」はバチコーン!とハマリそうで(実際大層な評判を聞くし)やっぱりカッキージキルも観たかった。次はなにがなんでも観る!。

と思うぐらい、演目として面白かったです。言ってしまえば単純なストーリーをテンポよく展開させ、それを彩る曲も演出もすべてが期待以上で初見にして大好きな演目になりました。
最後に滑り込みで石丸ハイドを観ることができてほんっとーーーーーーーーーーーーによかった!。