『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』第3話

初回から「助けてほしければほしいと声を上げて」「声を上げてくれないと助ける力があっても助けることができない」と描いてきたところで、今回は「助けてもらう必要はない」と言い張る自分がどんな罪を犯しているか理解できない馬鹿の話が、加害者を弁護する立場だから被害者を救えないという話を挟んで罪の重さを自覚し反省した依頼人の「謝罪」を「受け入れない」というところに着地して、謝罪を受け入れないことを静かに宣告する(監督のファンである依頼人にとっては(どれほどの「ファン」なのかがわからないけど)実刑判決よりも辛い断罪なのかもしれないな)監督を演じるでんでんの存在感もあってちょっと背中がゾクっとなった。

10年もの年月を掛けて作った作品を「よかれと思って」ファスト動画を作った“身内”のことは解雇はするけど訴えないってのも、直談判して助監督にしてもらった人間にとってはそれがどれほどの咎となるのだろうかと考えてしまうし、それもまた「助ける力があっても助けることができない」ということなのだろう。

しかしファスト映画に限らず、音楽なんかも間奏(ギターソロ)で他の曲に切り替えられてしまう(最後まで1曲通して聴かない)という話を聞くし、その理由としては今回の依頼人が言っていたように『時間が勿体無い』からなんだろうけど、2時間の映画を10分にまとめたものを見てその内容を“理解”した気になれるならなってればいいんじゃないの?と、突き放した目線でそうは思うもののじゃあその映画を観るために必要だった2時間という時間の残り1時間50分をどう使うの?と、どれほど時間を「有効活用」してるの?と、そこは真剣に聞きたい。10分のファスト映画であれば2時間あれば12本見られるという計算になるわけで、それこそが「時間の有効活用」だと言うのだろうか。

そんな時間の使い方をしている人間たちがファスト映画を作って公開して逮捕された容疑者と「名前が似てる」からという理由で映画監督に罪を着せて吊るし上げて炎上させて10年という時間を踏みにじるとか、控えめに言って地獄だよな。


公判の日に羽男がもってた白のトートバッグがめちゃめちゃ好みで、これ絶対ボッテガだわと思いながら調べたらやっぱりボッテガだったけど50万弱のお値段の代物で白目りました。
他にもジミーチュウとかグッチとか、時計も見るからに高そうなの着けてるし、公判で失敗し続けて大きな事務所を解雇されたあとどこの事務所にも入れない町弁がこれだけ高級品を身にまとえるほどの稼ぎがあるとは思えないんだけど、そこになにか、なんらかの仕込みがあったりするのだろうか。