『やんごとなき一族』第9話

成功するにしてもしないにしても、他人から精子を買って妊娠しようとする美保子はさすがに笑えねーよと思ってたら、「なんか違うかなと思ったからやめた」でギリギリ留まったけど、でももう遅いかな。その直後に「歌唱:自分」で自分語りする美保子を見ても以前のようには笑えない。笑うよりも哀れに思う気持ちのほうが強くなっちゃったもん。

ていうか母親が老舗和菓子屋の後妻になったのは母親も美保子同様「向上心の強い女」だからなんだと思ってたけど(母と娘の共同作戦だったのだと)、完全なる美保子主導の「後妻計画」だったとはねえ・・・。
自分が老舗和菓子屋の後妻になるのではなく母親を後妻に据え、それ相応の「立場」になって本命の「深山三兄弟」を狙うって、その根底にあるのが大学時代に「立場が違う」と嘲笑されたあの会話にあると考えると恐ろしい執念だよな・・・。

そういうことなら美保子自身が豪語するようにこのピンチだって切り抜けるのだろうと、どう切り抜けるのか見せてもらおうじゃないの!となるも、病院に通ってないという凡ミスから嘘が露見し罵倒され、そこから佐都の自宅出産って、いや俺が見たいのはそれじゃない感がすごい・・・。あのまま美保子が圭一を背後からブッスリやってたほうがなんぼかマシだろ・・・。

松本若菜さんの振り切った演技それ自体は評価するけど、ドラマとしてはこれもうどうしようもないだろってところまできてるよね。
今回の話で圭一だけでなくその妹の緑子さん(役名なんだっけ?)を「産んだ」母親である倍賞さんが一切絡まないのがそれを表してるでしょ。

「美人」のイメージしかなかったと言ってもいいであろう松本若菜がミステリと言う勿れの女刑事→美保子の流れでイメージチェンジというか新たな扉を開いた(ホリデイラブで強烈なインパクトを残した松本まりかの時と同じ気配がするんだけど(奇しくも松本繋がり)、まりかに続いて若菜さんにもブレイクしてもらいたい!)ことは喜ばしいけど、そういう意味では最愛でブレイクを確固たるものとしたはずの松下洸平が脚本・演出のせいで評価を落とす結果になりつつあって、回を重ねるごとに虚しさが募る。