『西荻窪 三ツ星洋酒堂』最終話

予想してたよりは「雨宮の話」ではあったけど(雨宮を車内から追い出したのが「兄」で、次男なのに「りょういちろう」という名前であることが分かったのは予想外であった)、作家である小林はともかく(店の経営と作家業は兼ねられるから)中内の居場所はこの店じゃないと思うんだけどなー。
この店で客の話を聞き、客が選んだ缶詰を使いその客の「今この瞬間の気持ち」に染み入る料理を作るというのはなかなかにハードルの高いことだと思うので料理人として遣り甲斐はあるのでしょうが、中内はもう「次のステップ」に踏み出したほうがいいのではないか、と思う。

自分はどうしたいか、自分はどうなりたいかという夢を持てない雨宮が最後の缶詰を使い切って、三人でお酒を呑みながら記念写真を撮って、じゃあねと別れるその瞬間にようやっと「この店を続けたい」と言ったけど、自分の意志を主張したこと自体はいいんだけどなんか違う気がするんだよね。

昔の常連客が「この店は変わらない」と言ってくれ、料理とカクテルに「合格」点をくれた。
だから三人でこの店を続けましょう、続けたいですとなるのはある意味当然の流れなのでしょうが、それでもこの店はやっぱり小林の祖父である前マスターの店で、「フードは全て缶詰」という縛りだって前マスターの拘りであるわけで、だから雨宮が見つけた『夢』が「三人で店をやりたい」ってことだったら、小林くんのおじいさんに負けない素敵な店を僕たちで作りましょう!中内くんはそこで自由に腕を振るってください!ってことならば素直に夢を見つけた雨宮に幸あれ!と思えただろうなーと。

前マスターは別に店を続けて欲しいと望んでたわけじゃないでしょ?。書けない自分を励ましてくれたじいさんが死んでしまったことで書けない自分に生きる価値はないと思い込み自分も死のうと思ってた小林くんを引き留めるために、店を続けませんかと雨宮が誘ったわけでしょ?。
で、小林は書きたいものが見つかり、缶詰はすべてなくなった。
であればやっぱり「このまま」ではなく「今度は自分たちの店を」となるほうが前向きだとわたしは思う。

でもじいさんの店だからこそ小林は「オーナー」でいられるわけで、イチから店を作るとなれば金を出すのはむしろ「坊ちゃん」である雨宮だろうわけで、じゃあ小林と雨宮がジョブチェンジすればいいってわけにはいかないだろうし、「三人で店をやる」なら「このまま」しかないんだろうな。

雨宮も中内も小林もそれぞれ暗黒期を抜け、これからはクリアな気持ちで客と向き合うことができるということだろうから、イケメン三人が傷ついた身体や心を癒してくれる缶詰バーというコンセプトで2期やろう。2期では毎回営業終了後に並んで1杯呑みつつその回のお悩み内容から思い出した高校時代の話をして、さらにCパートで「本日のフード」として缶詰メニューを紹介しよう。
内容のクオリティはさておきこの三人(の関係性)をこれで終わりにするのはもったいないもん