石田 衣良『獣たちのコロシアム 池袋ウエストゲートパークXVI』

いつの間にかストリート云々ではなくその時々の事件、世情をダイレクトに反映させるシリーズになってるけど、このところスカッとするような話にならないのは結局世の中がそんな状態だからってことなんだろうなぁ。バースデイ詐欺で多くの女から金をだまし取って心身共に傷つけるホストクラブ壊滅させても児童虐待を趣味とする鬼畜たちのオフ会に乗り込み得た個人情報を世界にばらまいても根本的な問題が解決するわけじゃなく(今回は特にGボーイズによる武力制圧で終わらせてる話ばかりだった)、小説の中ですらこの国を覆う「どうしようもなさ」を払うことはできないのだろう。
帯に「世の中嫌になることばかりだけどマコトたちがいれば大丈夫だ」と呑気なことが書かれてるけど、大丈夫だけど大丈夫じゃないよね・・・と。かろうじて救いと希望がある「タピオカミルクティの夢」ですら、ブームの終焉にコロナというダブルパンチで大前のおっさん生きてるかなと心配になるもの。