真保 裕一『ダーク・ブルー』

ダーク・ブルー

ダーク・ブルー

その名の通り6500メートルの深海まで潜れる「りゅうじん6500」に搭載される新型マニピュレーターの実験を行うため航海中の母船がシージャックされる。犯人グループの目的は「りゅうじん6500」を使い海底に沈んだ船から「宝」をサルベージすることだった。

結構な厚みのある本なのですが感覚として7割強は深海探索を行うためのモロモロの蘊蓄でして、私は宇宙よりも断然深海派なのですがそれでもわりと頻繁に「やべえつまらん。これいつまで続くの・・・」と思う瞬間がありました。ダイオウイカVSりゅうじん6500 という映像作品にしたら目玉であろうシーンですら「なんやようわからん・・・」としか思えなかったのに、それでも最後まで一気に読ませるから真保先生はすごい。

武力訓練していると思しきシージャック犯グループは一丸ではなく事情があって、クライマックスでは「お宝」を巡って日本人クルーを巻き込み銃を乱射し船に火を付け凄惨な状況になるのですが、その「お宝」とは一体なんなんだ?となったところでエピローグとしてその「正体」が明かされるとマジかー(笑)となる。それまでの蘊蓄などどうでもよくなるロマンあふれるトンデモ展開(笑)。このエンタメ性が真保作品の魅力だよな。