ジェフリー・ディーヴァー『カッティング・エッジ』

カッティング・エッジ

カッティング・エッジ

アメリカを離れ初めて国外が舞台となり、そしてライムとアメリアが結婚という形を選択するというシリーズを通して大きな変化があった前作から、次はどうなるのだろうか、どうなってしまうのだろうかと期待のなかにわずかな不安・・・というより恐怖かな、そんなものがあったりしたわけですが、まったくもってこれまで通りでした。帯には「原点回帰」とありますがまさにそれ。ニューヨークを舞台に完全犯罪を目論む犯人VSリンカーン・ライム率いるチームの攻防戦で、ああやっぱりこれだー!という勝手知ったる信頼&ドキドキ感とともに一気読み。

前作の要素がしっかりと取り込まれてる(設定として引き継がれている)こともあってか、柱となる事件のほかにも同時進行で描かれる案件があるので読んでる最中はややごちゃごちゃしてる感じは否めませんでしたが、もちろんそのごちゃごちゃは意図的というか、全ては「ひとつ」になるわけで、事件の真相が明らかになる瞬間の「そういうことだったのか!」感がたまらない。

そしてさらなるどんでん返し。これまでの好敵手と比べて“この程度”の犯人に思いっきり懐に入られたことに不満というか、なにやってんだよーってな気持ちがあったんだけど、それすらもこのシリーズ全体を通しての策略で、私はまんまとそれに嵌められてしまった。って考えるとここで「原点回帰」となったことにも大きな意味があるのだろう。早く続きが読みたい!(読んだばかりなのに)。