五十嵐 貴久『コヨーテの翼』

コヨーテの翼

コヨーテの翼

東京オリンピックの開会式で総理大臣を暗殺しようとしている伝説のスナイパーVSそれを阻止する日本警察というなんの捻りもないそのまんまの話なので、内容に関する感想としては特にありませんが(五十嵐さんならコヨーテ自身の話とか水川の(警察内部の)人間関係の話とか、もっとドラマ性を持たせることはできるだろうに、そういう要素は描かずに「暗殺のプロVS警備のプロ」と帯にある通り「それだけ」の話なので、その攻防の行方を追う以外になにか思う余地がない)、警備・警護・テロ対策というひとつのセクションだけでもこれだけ多くの人間の働きがあって、そのうえに「オリンピック」というイベントがあるんだよなーと思うとやっぱり複雑な気持ちになる。

多くの人間がオリンピックを成功させるべく動いていて、それによりオリンピックが開催できることの喜びとか誇らしさよりも、そのお金とか労力を他に使ったほうがいいのではないか?他に使うべきところがあるのではないか?という思いのほうが先にきてしまうってのは、なんていうか、哀しい・・・かなぁ?素直に「楽しみ!」と思えないってなんなんだろうなぁ・・・と、読んでる間ずっとモヤモヤしてました。