『まんぷく』第7週「私がなんとかします!」

労働条件がいいとは決して言えないのに誰一人として仕事を辞めようとしない理由はなんなのか、そこにどんな事情・背景があるのかなど、もっと塩軍団のひとりひとりを掘り下げればいいのにと思っていたら次の日(次の回)で早速辞めたって仕事はないことや、家族も家もなくなり行くところがないことや、戦争に負けたのはお前らのせいだと子供に石を投げられたことや、あのまま大阪にいても犯罪者になるかもしれなかったことを口々に語り、さらに寿司職人の修行を10年やってました(から魚捌けます)という赤津くんが『大奥さんの下僕(しもべ)』というポジションをゲットして、そうそれ!そういうことだよ!!と膝をたたきました。
他に行くところがないから、大阪に戻っても(こんな毎日であっても)今よりいい生活ができるとは思えないから、だから文句や不満はあるけど今の仕事を続けるし、この仕事に誘ってくれた神部には感謝してるかあ。まっとうな働き口でなくともそれこそ世良のように闇市で稼ぐ手段はありそうだけど、この子らには世良のような才覚はないのだろうし、かといって誰かに使われるとしたら汚れ仕事をやらされそれこそ犯罪者になるかもだし、だからその選択肢は選ばないし、そもそも性根が真面目な子たちばかりなのだろう。誰一人辞めないことについては納得できたし、もし赤津くんが最初から料理の腕があることが判明していたらもっとはやく鈴さんの下僕になってたはずで、となると「みんなとは違う仕事」をする時間が多くなろうわけで、そしたら今のように『塩軍団』としてのまとまりはなかったかもしれないなとも思った。
これまでの時間で塩軍団という外箱を作り、そのなかに詰められたひとりひとりの「個性」はこれから描かれていくのかな?。だとしたらとても考えられた構成だよね。
それから、福子の借金問題もそう。利益ではなく品質を追求する職人気質の萬平さんに対し「私がなんとかします」とキツイ言い方をすると『いい顔』をする福子だけど、福子の「なんとかする」はイコールハナちゃんの旦那さんから借金をすることで、この時代の貨幣価値はともかくその考え方はぜったいに良くないわけでさ、ハナちゃん夫婦が「これが最後の借金になるとは思えない」「このままじゃまずい」と言ってくれてとりあえずホッとしたわ。ハナちゃんちから借金できなくなったら福子に「なんとかする」手段はなくなってしまうけど、だからって借金を続けていいはずがないもん。萬平さんも鈴さんも福子に頼りっぱなしであるなかで(どうやって金の工面をしてるのか聞かないんだろうね・・・)、福子に厳しいことを言ってくれる人たちがいることは気持ち的に救いです。
とはいえハナちゃんの「福ちゃんが全部やらなきゃ会社はつぶれる」という言葉が福子にとって相当重くのしかかってそうで、それが新たな心配の種なんだけどねぇ・・・。世良には「お金のことは私が考えます」と「商売の経験なんかなくてもやるしかない」と「私が全部やるしかないんです」と言う福子だけど、作った塩は(闇で売ろうぜ!と持ち掛けてきた)世良に預けて自分は姪の様子を見に行くとかさ、やっぱり全然わかってないんだよねぇ・・・。
ていうか、塩って売値の天井が決まってるんですね。萬平さんは「専売局が最上級と認める塩」を作りたかった。だから従業員たちに厳しい品質チェックを課して、その結果「すべて満額」=最上級の塩を作ることができた。でもそれ以上はない。これ以上品質を高めても4千円以上で売れることはないし、品質を維持するためにはそれ相応の手間暇をかける必要があるから量産することはできない。つまり『これ以上の儲けは出ない』ってことになるわけで、神部くんの訴えを聞いたあと浮かない顔で4千円を見ていたのはそれが理由なのかなぁ(萬平さんは職人だけど発明家でもあるわけだから、品質を保ちつつ製造量を上げる仕組み、例えば海水をくみ上げ貯水するところまでは自動で行い、鉄板に少しずつ流すところだけを人力でやれるようにするとか、そういうものを造ることはできないのかなぁ?とか思うのだけど、でも造るには金がいるわけで、先立つモノがないんですよね・・・)。
で、中抜きするどころか萬平さんが拒否したというのに内緒で勝手に立花くんが作った塩を闇で捌いて儲けるなどとますます悪人度が進んでる世良ですが(でも中抜きと違ってこれが世良の商売の仕方ではあるんだよなぁ)、この枝がどう進むのか、どう進んでもヤバそうな気配しかしないのがなんとも・・・萬平さんの品質へのこだわりがあだとなりそうで・・・。
あ!あとあとヤバいと言えば忠彦さんよ!。戦争で描けなかったぶんをとりもどさないといけないという気持ちはわかる。でもタカに向かって画家の娘なら覚悟しろって、え?なにを?。さらに俺は戦争で目をやられた、今しか描けない、(描くことを)やめるわけにはいかないんだって、娘を泣かせ妻にあんな顔をさせてまで描かなきゃならないだなんて、え?もしかして忠彦さん視力がヤバいとかそんな感じ・・・?。