『僕らは奇跡でできている』第9話

青山さんの恋心の行方(振られてしまうのは間違いないとして、振られた青山さんがどうするのか)は気になるものの一輝と育美の恋愛要素はわたしにとってはそれこそ“興味ない”ことなんで(この二人には橋を渡るリスと目撃した瞬間のように、性別を超えた友情を育んでほしいなと思っていたので)、水本先生をどう思ってるかよりも樫野木先生の話を進めてくれよーと思いながら見ていたら、とても辛い展開が待っておった・・・・・・。

たぶん、樫野木先生のなかでは一輝に対するいろんなコンプレックスや嫉妬がコツコツと蓄積されてはいたんだと思う。でも樫野木先生は“ちゃんとした大人”だからそれは心の中だけに留めておくことができていた。それなのに今回それが決壊してしまった。なぜか。自分はネイチャーに論文が掲載されるために努力しているのに別れた妻が「夢を追いかける男」と再婚すると聞かされたから。妻子のためにフィールドワークをやめたのに今頃になって「フィールドワークをしていた自分を一番カッコいいと思っていた」ことを知ってしまったから。つまり樫野木先生が一輝にしたことは八つ当たり、だよね。
でもその言葉はその場の思いつきで出たものではなくこれまで樫野木先生のなかにあり続けたものなので、悪口でも暴言でもない筋の通った正論で、「いなくなってほしい」というのは樫野木先生の正直な気持ち・・・なんだよね。だから一輝は何も言い返せなかった。

それ言っちゃダメだろよ樫野木先生!と思う一方で樫野木先生の気持ちもわかるわけで、一緒にリスの橋を作った時々好きな樫野木先生に言われた一輝の気持ちも考えてしまうわけで、鮫島教授が鮫島教授にしてはストレートに指摘したことも刺さるし、どの立場から見ても苦しくて、こんなにも心が痛い状態で最終回を迎えることになるとは思ってなかったです・・・。

水泳だけでなくロシア語を勉強し始めたこと、講義の内容、ジョージを連れておじいちゃんの森に向かったこと。そのあたりから一輝がこれからどうするつもりなのか、その方向性は予想できるとして、樫野木先生にも、いや樫野木先生にこそ樫野木先生なりの奇跡を見つけてほしいと願わずにはいられない。