真山 仁『標的』

標的

標的

清廉潔癖だとして国民からの人気が高い女性大臣が現総理の後ろ盾を得て日本初の女性総理大臣の椅子に手をかけるが、そんな中、東京地検には大臣の盟友が経営する投資会社の元CFO収賄の疑いで大臣を訴えたいと接触を図る。その裏には政治的陰謀が潜んでおり・・・という話で、帯には「初の女性総理候補VS東京地検特捜部」とありますが、視点としては東京地検特捜部のエースのほかに新聞記者のものがあり、不正を暴く側の物語です。
帯といえば「売国シリーズ第2弾」とありまして、確認したら「売国」という作品に続く位置づけになるようですが(エース・冨永を始め特捜部の人員が引き続き登場してるようです)、これだけを読んでも全然大丈夫でした。
真山さんの作品は読み応えはあるんだけど固いという印象を私は抱いていて、この作品も真ん中あたりまでは面白いんだけど読み難いという意味でちょっと苦戦しましたが、慣れるというかその山を乗り越えたらあとはもう最後まで一気読み。例えば家族との話とか、そういう息抜きパートは一切なく、逮捕に至る検察の努力、情報を得るための駆け引き、そういった事の推移が淡々と、でも熱く描かれているので読み疲れはするけどそれでもページをめくる手が止まらない、というより手を止める隙がないといった感じ。
で、キャラクターもいいし話もしっかりしてるしってんでこれ確実に映像化されるだろうと思ったんだけど、テレ東で既に「売国」がドラマ化されてたんですね。検事・玉木宏だなんてなんで私これ見てないんだろう・・・と思ってよくよく確認したら脚本家がダメで録画しなかったやつでした。