三崎 亜紀『チェーン・ピープル』

チェーン・ピープル

チェーン・ピープル

タイトル作の「チェーンピープル」とは「チェーン店」の人バージョンのことでした。
今回は現実にあるものやあったことを改変したり見方を変えたりとアレンジすることで生まれるパラレルストーリーのような感じで、日常のなかに不条理で不可思議な設定をひとつ置くことでとてつもなく不思議で奇妙な物語を生み出すという三崎さんお得意のスタイルとはちょっと違うものの、相変わらずなんでそんな話を思いつくんだよ・・・・・・。
一人のルポライターが「六人」の人物にスポットを当て、その人に対する人々の記憶や記録を調べることでその人が生きた軌跡を描くという形の連作短編集で、タイトル作を例に挙げると“チェーンピープル”という突飛な設定がありながらも描かれているのはざっくりと言うなれば“個性”とはなんぞや?ということであるので、三崎作品比として読みやすさ、理解が及ぶ度は高い。
なかでも私が魂をむんずと掴まれたのは1篇目の「正義の味方」です。もう・・・なんと言っていいのかわからず、なんだかわからない涙がこみ上げました。特撮好きはこれだけでも読んで・・・・・・。