三崎 亜記『逆回りのお散歩』

逆回りのお散歩

タイトル作と「となり町戦争」の続編にあたる作品の2篇を収録。
タイトル作のほうは「ステマ」に代表される情報操作（人心の誘導）に隣国が日本に向ける（日本からすれば）理解し難い一方的な感情の“源”について、それらを三崎ワールドにおける「一地方都市の合併争い」という舞台に凝縮させる手腕はさすがではあるものの、前述したように云わば元ネタは分かる（ような気がする）ので不条理感はさほどでもない。と思ったら続くとなり町戦争の続編ではその分もとばかりの不条理さ爆発（笑）。いやーやっぱこの「自治体運営のために公共事業として『戦争』を行う」という設定は凄すぎる。
今回は前回同様それを職務として遂行する立場ではあるものの共に自治体の長の子供である男女を主人公にしたことで、その不条理さの中に未来というか希望の芽があるように感じられて、それはやはり3.11の影響なのかなぁとか思ったり。
ていうか読み終わった瞬間、あれ？これって三崎さん流のロミオとジュリエットだったのか・・・？とか思ったんだけど、多分違いますよね（笑）。