『カルテット』第5話

前回のあの引きからどうなるのかと楽しみでもあり怖くもあり・・・でしたが、5話を見終わるころには初回からずっと感じ続けてた・・・いろいろ言葉を探してみたけど、『不穏』かな、それがだいぶ払拭された気がします。
マキさんとすずめちゃんと有朱が向き合ってマキさん夫婦について話をするということになるとして、それは有朱によって巧妙に誘導されたすずめちゃんがマキさんに聞くという形になるんだと思ってました。そんなこと聞きたくないしそんな話をマキさんにさせたくないのに、聞かされてしまうすずめちゃんの隣で満足げな有朱・・・的な、そんな地獄絵図になることを予想していたし、その結果辺り一面ツンドラ状態になるか血の雨が降るだろうと思っていたのですが、すずめちゃんの後釜に座ったと思しき有朱の「証拠集め」は直截的すぎだし、すずめちゃんについて語るマキさんもICレコーダーから流れる自分の話を録音したのは誰かわかってしまったマキさんも、どちらもなんの裏も感じさせないってんで(驚いたんだか怒ったんだか悲しんだんだか、あらゆる感情が噴出してるんだけどでもそれが表面には出ない(出さない)という松たか子の凄まじい演技だった)、そこには今までずっとあった有朱に対する得体の知れなさもマキさんに対する底知れなさもなかった。
有朱のポケットからICレコーダーが転がり出てそれを拾ったマキさんが再生しちゃったのはアクシデント(有朱の作戦ではない)だったんじゃないかと思うけど、あれだけマキさんを追求してたというのに即座に切り替え「マキさんのためを思って」すずめちゃんの『共犯』という立場に自分を置く有朱はまぁさすがとはいえ悪知恵が働くなー程度だし(ていうかマキさんを追求するこの調子でターゲットに牙向けてたんだとしたら、そら義務教育ぐらいの歳頃の集合体は崩壊するわなと、学級崩壊伝説に納得せざるを得ないわ)。
すずめちゃんのセーターについてたスパンコールを二度見するマキさんはそれが義母の持ってたバックについていたものだと“分かった”んだと思ったし、これまでもマキさんはすずめちゃんのしてることに気付いているのではないかと思ったことがなんどもあって、それはもうわたしのなかで確信に近くなっていたので、このスパンコールは決定打だろうと、そう思い込んでいたのにマキさん・・・・・・少なくともこのスパンコールの時点まではぜんぜん気づいてなかったとか。
そうかぁ・・・マキさんに対する印象も有朱に対する印象も、それはわたしが勝手に積み上げ作り上げしていたものだったのか。
その一方で、これまでは嫁に対する猜疑心の塊という存在だったはずの巻鏡子がその嫁と(表向きは)まさかの超良好で気安い間柄であることがわかった。
腹の中では嫁が息子を殺したのではないかと疑い、そのために金を払って人を雇うならば探偵にでも頼めばいいだろうに“友達になって最終的に裏切れ”という、真実を知ることよりもむしろ息子を殺した女を苦しめることを目的としてわざわざ隠したい過去を持つ人間にそれを持ちかけるということをしながら、そんなことはおくびにも出さず嫁と気安い会話を交わす巻鏡子という人間の二面性が描かれた。
その上でマキさんは語った。かつて夫は二人暮らしの母親から逃げ出したことがあり、だから今度は私から逃げたのだと、だから翌日パーティでバカヤロー負けるもんかって笑ってやったのだと。
あの写真の中にいたマキさんとまったく同じバカみたいな笑顔でそう語るマキさんを見てしまったら、息子を嫁が殺したなんてのは義母の“思い込み”なんだなと、マキさんに対する疑念はほぼほぼ解消されたなと、そう思いそうになったけど、家森さんの証言があるんだよなぁ・・・・・・。
ってところでなんとマキさんの『夫さん』が宮藤官九郎であることが明らかに!!!!!。
これまでこのドラマの中に存在していた「夫さん」はすべてマキさんの語りによるもので(プラス家森さんの話もあるけど)、それはふわふわとした、形のない存在であったけど(わたしのなかではそうでした)、夫さんが宮藤官九郎であるとわかった瞬間これまでマキさんというフィルターを通してぼんやりと見えていた夫さんのパーツが宮藤官九郎にしゅるしゅるしゅるしゅる〜っと吸い込まれてあっという間に肉体を持つ人間になった。
母親から逃げ今度は嫁からも逃げるような男、妻のことを愛してるけど好きじゃないなんて言っちゃう男、そこに宮藤官九郎ときたら嘘ついたわけじゃないんだろうけど“妻に突き落とされたら逃げられるのに”という願望・・・と言っていいのかなぁ?そういうものが口から出ちゃったってなことなんじゃないかなという気がしてきたよ。
そこいらへんが明らかになるのは今後のお楽しみとして、息子の家に行ったら嫁が男と2人っきりでいたもんだから(これマキさんが別府くんといるって知ってたのかな?ゴミ持って東京のマンションに向かう車のあとを付けてるようなカットはなかったから偶々二人がいるところに義母が来たってだけなのかな?)トイレと間違えたフリしてベッドの状態確かめるような母親からはまぁ逃げたくなるのもわからなくはないかなーってのはあるよね。
後半の話から先に書いてしまいましたが、30分近くに挿入されたタイトルカット(「Nのために」を思い出させる素敵な演出だった)を挟んでの前半もまた後半とは違う胸苦しさだった。
「志のある三流は四流」か。茶馬子が言った「20代の夢は男を輝かせるけど、30代の夢を男をくすませる」もそれと通じると思うのだけど、三流でありながら志であり夢がある(夢を持ち続けてる)ということは、自分の実力をわかっていない、ということなのだろう。三流プロデューサーに「四流」と言われてしまったカルテットの中でさえ、音パクすることを命じられ、泣いて拒否したすずめちゃんとそんなすずめちゃんを庇い同調したのが家森さんで、それをやるべきだと言ったマキさんと頭を下げた別府くんとその「違い」は明らかで(谷間さん夫婦の携帯を見るか見ないかの話にすずめちゃんは「イヤ」、家森さんは「見るけど見られるのはイヤ」といい、マキさんは「別に平気です。見る方もどうかと思いますけど」、別府くんは「別に大丈夫です。見たいとも思わないし見られて困るものでもない」と答えたのはその前フリみたいなことだったのかな?)(ていうか家森さんやはりクズであるww)、だけど路上で演奏する四人は楽しそうだった。心から楽しそうだった。四人が楽しそうであればあるほど、それがすごく切なかった。
で、宇宙人のカルテットはまぁいい。宇宙人だって楽器弾くかもしれないし。
別府くんのキャラが童貞なのはいい。宇宙人だって童貞はいるだろう。
家森さんのドS王子もいい。王子はだいたいドSだ(わたし調べ)。
すずめちゃんの妹キャラもいい。宇宙人にだって兄弟姉妹はいるだろう。
だがしかしマキさんのアラサーキャラってのだけは納得いかん。宇宙人とか関係なく「アラサー」ってキャラじゃねーだろw。
あと家森さんの割烹着はあるかなしかっつったら・・・・・・・なしかな。一生くんであれば全力ありですが家森さんはないだろう(家森さん=ノーパンなので裸エプロンならぬ裸割烹着という単語を思い浮かべてしまってほんとうに申し訳ない)。
あと夢をきかれて最初に出るのが「JUNONボーイ」の元Vシネ俳優(アラサー)は最高に最悪ですw。