竹吉 優輔『ペットショップボーイズ』

ペットショップボーイズ

ペットショップボーイズ

ホムセンに併設されてるペットショップでバイトしてる二人の兄ちゃんを中心に、職場の仲間や常連客、そして動物たちが毎日ワイワイやりながらそれぞれが抱える悩みやなんかを解決する作品集です。
で、

動物を扱うフィクションで大事なことは一つだけだ。動物が死ぬか死なないか―――。前者なら絶対に観たくないし、後者ならば安心して観ることができる。

「ペットショップボーイズ&サモエドスマイルズ」より

ほんとこれ。
作中では映画についての記述だけど、小説においてもそうで、動物が死ぬ物語はたとえそれが展開上必要不可欠な要素であっても嫌な私としては、この本は心の底から安心して楽しむことができました。
動物の名前が章タイトルについてはいますが、受ける印象としては動物はアクセント的なポジションであって基本は「人間」の物語。それを主人公が自分探しをする最終章で「人間」もまた「動物」であると、そう着地させたところがとても好ましい。
まぁ・・・現実はこんなにほのぼのハッピーな感じじゃないんだろうなーと、そういう思いは読みながら頭の片隅にずっとあったけど、せめてフィクションの世界ではこういう「ペットショップ」があったらいいなと思う。