大倉 崇裕『スーツアクター探偵の事件簿』

ぜったいそうであろうことは読む前からわかってましたが、やっぱり スーツアクター>>>>>>>>>探偵 だった(笑)。
なんかもう・・・ムオワッとした臭いと熱気が伝わってくるよう(笑)。
でも大倉さんのすごいところは、というか大倉さんがただの特撮オタクではないところは、「事件簿」の内容がちゃんとスーツアクター(特撮)業界ならではのものになっていることにある。それこそただの特撮ファンでしかない私ですからスーツアクター業界についての知識など耳学問でしかありませんが、それでも事件の動機には頷けてしまう。事件に直接関わってはいない人々の葛藤とか、憧れの作品・人への想い、怪獣への拘り、プライド、そういう“人情”に共感できてしまうわけで、それがこういう事件を引き起こしてしまったんだなーって頭ではなく心で理解できてしまう。
これほど特殊な業界を舞台にしたミステリーをこれだけ読みやすいものにできるのは、やっぱり大倉さんの特撮愛あればこそ、なのだろう。