『真田丸』第20回「前兆」

父親とともに上洛し徳川に寄って帰ってきた旦那に「新しい嫁貰う事になったから」と言われてしまうのであろうおこうさんがどんな反応をするのかと思ったら、思いのほか聞き分けがよくて、ていうか身体が弱いことや未だ子宝に恵まれないことなんかから“こういうこともあるかもしれない”と心積もりだけはしておいたのかなーとか思ったんだけど(だからこの回で茶々の懐妊が発覚したのではないかと)、とにかくおこうさんが大人しく離縁という現実を受け入れ里に戻ることになった・・・・・・・と思ったら侍女にジョブチェンジ(笑)という驚きはあったものの、豊臣と比べたら真田のどーでもいい感がすごくなってきたな・・・。真田も真田で面白くはあるけど(昌幸に気をつかわれる忠勝・・・w)(でもこれ、忠勝目線で見れば微笑ましく思えるけど一緒に輿を運んできた従者のひとたちにしてみたら忠勝をどう扱っていいものやら困りまくったと思うのよねw。その心中を思うと・・・特別手当出してあげてー!)(ていうかあいかわらず昌幸クソすぎるww自分が「使えるな!」って言ってたくせにぜんぶ信幸に被らせるとかほんとクソなんだけど、でも「信幸がどーしても言った」と言っても誰も本気で信幸を咎めるような発言をしなかったということは、みんな薄々またこのクソ親父が強引に決めたんだろうな・・・って察してたってことだよね。これまでは何を言われても即行動に移してた佐助なのに不満を隠さず「弁えよ!」と信幸に言われて渋々・・・だったし)、面白さの次元が違う。おこうさんの見せ場も三成嫁のここぞの発言で上書きされちゃった感あるし。
信繁が最期まで守り従うのが“こういう豊臣”であると、“こういう豊臣”だからこそ信繁は豊臣を選ぶんだと、そこに説得力が出るかどうかは豊臣をどう描くかに掛かってるわけで、その点今のところは順調に積み上げていってると思うんだけど、大坂編が面白ければ面白い程、あれ?これなんの大河だっけ?と思って我に返る瞬間が無きにしも非ず。
ってのはソレとして、今回はとにかく石田三成がカッコよかった!!。時代劇でひとり酒を飲む、呑んでも酔えないというワンカットをこうも色っぽく演じられる(この年代の)役者はそうはいない。
秀吉というか豊臣のためというよりも、茶々様に言われたこともあるだろうけどそれよりなにより『この三成のため』に信繁は西軍に付くことを選ぶんじゃないかなって、直接そう描かれずともそのときわたしはきっとこの回を思い出すと思う。それぐらい素敵だったー!。
落書の“犯人”として道休の首を差し出した場面、秀吉から落書についての調査を命じられたのは三成だから信繁がこの場に居る必要はないんだよね。でも実際に調査したのは信繁だし、ていうかなんたって主人公ですから作劇上この場に居るのは当然として、ここで三成に信繁を「お前は口を出すな!」と一喝させたってのが上手い。
これ、下手をすれば腹を斬らされることになるわけで、それは自分の責務であり自分ひとりが怒りを買えばいいだけであると、つまい信繁を守ろうとしてってのがまずあるんだろうけど、加えて自分と秀吉様の命を賭けたやりとりにちょっと気に入られてる程度のお前が入ってくんなという想いもあったんじゃないかなーと思うのよね。前回のラストで殿下はどこへ向かおうとしてるのか・・・と憂いていたけど、殿下の変化・・・なのかなぁ?寧様が仰るには「昔から怖い人」だそうなんで変わったわけではなく出さずにいた本性を隠さなくなった、ということなのかもしれませんが、それにより殿下に対する“周囲の感情”が悪い方へ変わりつつあることを誰よりも察してるのが三成なのではないかと。それをそれとなく伝えるために、殿下に「佐吉」と幼名で語りかけたんじゃないかなと思ったんだけど、そういう想いが信繁への一喝に込められていたようにわたしは感じた。
それだけに、三成の「佐吉」を無視して「石田治部少輔」と、あえて公的な呼び方をして切腹を命じられたことがこれからの三成にどう影響するのだろうかと、なにを支えとして殿下に仕え続けるのだろうかと、心配になってしまう。
信繁をこの場に居させる“だけ”で何もさせないでいながらこのやりとりを、この石田三成真田信繁に“見させる”。こういうドラマ作りはとてもいいと思う。
ていうか、こんな大事になるとは思わず“つい”殿下に落書きのことを言ってしまったとしょんぼりする片桐さんをみてちょっと嬉しそう?楽しそう?ざまーみろ?ってな顔する平野さんほんっとブレねーなw。
殿下から直接ではなく三成の下請けという形で信繁が捜査するのはいいとして、相棒ポジションに平野さんが座るとは思わなかった。こういうところも演者との関係含めていいなーって思います。
でも前回の茶々との蔵密会といい今回の落書きといい、結果的に片桐さんが殿下にチクったことから始まってんのがとても気がかり・・・・・・。平野さんや片桐さんのような“小物”がいるからこそ三成とか大谷さんのカッコよさが引き立つわけで、その結果信繁-三成-大谷というトリオというかタッグというか、そういう関係性が出来つつあるわけで、だからお二方ともそういう存在であることに意味があるのでしょうが、平野さんはともかく片桐さん大丈夫かよという気が・・・・・・。
それから寧様。秀吉って大抵は子供に恵まれなかったところでようやっと跡継ぎが生まれたあたりから狂ってきたってな描き方をされることが多いように思うのだけど、実は本質的に信長よりも恐ろしい男だと、そう描くってのは面白そうだし楽しみではあるんだけど、それを他の誰でもない寧様の口から言わせるってのがなんていうか・・・ゾクゾクするわ。
秀吉が三成へ切腹を命じるギリギリのタイミングで登場した寧様ですが、三成とどの程度の“打ち合わせ”をしてたのかわかりませんが、自分や三成の前で茶々に「お腹の子の父親は殿下である」と明言させるのは寧様の計画だと思うのよね。そして殿下に茶々を追わせる。さらに三成(と信繁)に民衆に対するフォローを頼み、ひとりその場に残った、残された寧様の後ろ姿が切なく、そして怖かった。
怖かったといえば茶々がお菓子を貪り食ってた女子会な。笑いながらにこやかな口調で話をしてるもののすごい嫌味の応酬で「こわっ!!」だったけど、鈴木京香斉藤由貴が話しをしてる横で竹内結子がボリボリ菓子食いまくっててその背後に長澤まさみがいるってのは「おお、大河!(ぐらいでしか見られないであろう共演!)」と思いました。
あ、そうそう。初夜の晩、二人っきりになったところで信幸が「何でも遠慮なく言え」と言ったのに対し、稲は「ほんとに言っていいのか?」と確認したうえで「寒い」と言いましたが、浜松に比べたら上田はそりゃあ寒いだろうからその通りの意味だったのかもしれないけど、「寒い」→抱かれる覚悟は出来ています ってな意味だったりはしませんかね?。養女とはいえ「徳川様の娘」なわけで、しかも妻を離縁しての政略結婚なわけで、もろもろ遠慮して手を出せないのではないかと、そう案じた家康と正信あたりが「寒い」と言えと、そう教えてたってなことはないかなーと。それを言葉通りに受け止めちゃった信幸・・・ということならば、しかもそれを元妻に言っちゃった信幸・・・・・・ということならば、なんかもう・・・なんだ、お兄ちゃんしっかり(笑)。