シス・カンパニー公演『アルカディア』@シアターコクーン・『團菊祭五月大歌舞伎』夜の部@歌舞伎座

3月末からGWにかけて、本来ならば観る予定の舞台や行くつもりだったイベントはいくつかあったんですが、思いがけなく仔犬との暮らしが始まってしまったもんで手放せるものは全て(ほとんど全部)チケットをお譲りしました。そりゃあ観たいけどさ、拝みたいけどさ!、子育てが最優先ですから。

それでもどーーーーーーーーーーーーしても観たかったのが「アルカディア」でした。
えーっと・・・・・・・・・井上芳雄さん目当てで。

もともとわたしは“歌わない井上芳雄に興味はねーぜ!”ってな人間だったんです。ミュージカル苦手なくせになにを言う!ってな話ですが、まぁ・・・そんな心持であったわけです。
なのでこの作品のチケットを取った理由の第一は堤真一、第二は寺島しのぶにありました。あったはず。
で、幕が上がり、その頃はまだ子持ちではなかったわたしはどんなもんかと劇評やら感想やらをちらちら漁っていたわけですが、井上芳雄の評判が高いわけですよ。歌ってないのに!。
そこでちょっとね、歌わない井上芳雄がどんなもんよ?と、わたしがこの目で確かめてやろうじゃないのさと、超上から目線で興味がわいたわけですよ。
前述のとおり仔犬がやってきて、わたしのチケット袋から次々とチケットが旅だっていき、そして最後まで残ったのが「アルカディア」のチケットでした。
つっつんは見たい。しのぶ姉さまも見たい。
トム・ストッパードの作品で日本初演。英国貴族の屋敷に作られた庭園の中の庵で200年前に死んだ「隠遁者」の謎を同じ場所で現代の作家と学者が解明しようと努力する。劇中を彩るのは古典主義にロマン主義。カオス理論。そして詩人・バイロン卿。
これだけの情報でもうワクワクだけど、それでもたぶん、これだけじゃあわたしは子育てを優先したと思う。

わたしがチケットを手放せなかった理由。繰り返すけどそれは井上芳雄
天才少女の家庭教師をつとめる皮肉屋な井上芳雄がどーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーしても見たかったんです。

結論としては、観てよかった。舞台自体も知的で素敵だったけど、とにかくもう・・・・・・・カテキョー芳雄が最高すぎた。これ見なかったら5年は後悔してた。

前身頃がウエスト丈で後ろが燕尾になってるテール・コートでいいのかなぁ?それを着た芳雄がもう死ぬほどカッコよくて!!より強調された長い脚を組んで椅子に座る姿とかもう言葉にならない。

それで「肉欲」について少女に教えたり友人の妻との浮気について語ったり亀にちょっかいだしたりするわけですよ。
そして最後にはその少女に請われワルツを踊り高く抱き上げ笑いあい、そして優しくキスをする。

しのぶ姉様演じる作家のハンナと堤さん演じる学者のバーナードによって、観客はこのあと二人がどんな運命をたどるのか知らされているわけで、この楽しげで幸せそうな時間が長くは続かないとわかってる。それがもう切ないのなんのって。

天才少女・トマシナを演じる趣里さんと芳雄さんの身長差も完璧で、この可愛さと切なさがはちきれそうなワルツのシーンは今年のわたしベスト候補。
と、観劇してからずいぶんと時間が過ぎ先日大千穐楽を迎えたというのに、今更ながら感想を書き残しておこうと思ったのは歌わなくても井上芳雄は素敵であると、ただそれだけが言いたかったからです。


「團菊祭」は行かないという選択肢はありません。子育てと音羽屋のプリンス和史ぼっちゃまの初御目見えという一生に一度の舞台は別次元の話です。

花道で転んでしまいそのあとはずっと両手で顔を覆う姿を各局WS(全部もれなく確保)で拝見しましたが、わたしが見た日は花道を出るときから既に菊之助さんに抱かれての登場で、舞台上では完全におねむ状態でした。菊之助さんのお膝の上で時折のけぞるような動きをしながら両拳で両目を擦り必死で眠気を堪えてらっしゃるようでしたが、菊之助さんのご挨拶となり吉右衛門さんに抱かれ、挨拶を促されるとぺたりと坐ってお辞儀をした・・・・・・かと思ったら、そのまま頭を上げず舞台上に突っ伏す形で寝かけてて、会場中が暖かい笑いでいっぱいでした。

なんかもうね、和史ちゃん可愛い通り越して尊い吉右衛門さんを舞台上でこんなただのおじいちゃんの顔にしちゃう和史ちゃんの存在が尊すぎる。

もうね、話には聞いてたけど吉右衛門さんまじおじいちゃんな(笑)。團菊祭という舞台であり“音羽屋の跡取り”であるからか、おやじさまはまだ歌舞伎役者の顔だったけど、吉右衛門さんはほんとデレッデレ(笑)。釣られて客席もみんな親戚気分ですわ(笑)。幕が閉まる前に三方に向かって礼をする人間国宝の二人の隣で音羽屋の御曹司に抱かれて手を振る和史ちゃんに思わず両手振っちゃったもんね(笑)。子供嫌い(甥っ子除く)で母性皆無なこのわたしをも微笑ませる和史ちゃん末恐ろしい。

でさー、このときにさー、後ろで鳶や芸者に扮した役者の皆様が控え見守ってるんだけどさー、獅子舞を踊った松也さんと巳之助さんが隣にならんでるんだけどさー、目を見合わせて笑いあっててさー、心の中で絶叫したよね。みっくん歯茎見えてたぜ?(可愛い!!!!!!)。獅子舞も見応えあって見事だったし、被ってたお獅子をバッと外してポーズ決める松也とみっくんが粋で格好いいのなんのって!!!!!!!!!!!だもんで、わたし的にはこの一幕に全部!!!な團菊祭でありました。梅ちゃんと右近くんと種ちゃんの芸者もくっそ可愛かったし!!(種ちゃんの芸者と萬ちゃんの鳶のものが並んで座ってるのとか可愛すぎて目が離れなかったー)(それを言うなら男女道成寺で並んで見物してる所化のみっくんと種ちゃんもわたし的絶好ポジションでした)。