スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』@新橋演舞場

まずは無事初日を迎えられたことに、おめでとうとありがとうと言いたいです。
確かに「賛否両論」になるだろうなと、それはすごく感じたし、実際わたしの中でも「否」はあるんだけど(後述します)、でも「否」も含めて楽しかった。
この初日を迎えるまで、猿之助さんを筆頭に役者の皆様裏方の皆様はこれまでに経験したことのないような苦労と努力を重ねてきたことだろうと、それはわたしの想像なんて到底及ばないほどのものだったのでしょうし、これからもブラッシュアップすべく日々その努力は続くのでしょうが、まずは無事幕が上がったことに対しおめでとうございますと、ワンピースの歌舞伎化に挑戦してくれてありがとうと言いたい。


で、余計な情報を入れずに見たほうが絶対に楽しいと思うのでネタバレせずに面白さを伝えたいんだけど、そこを外すと面白さが語れないというジレンマ。
おそらく歌舞伎を観たことがないひとは「上演時間4時間50分(休憩含む)」ってのに怯んでしまうでしょうが、初日の感じだと結構間延びしてる箇所が見受けられたしテンポもそんなによくはなかったんで、そこいらへんはこれから慣れるだろうしどんどん修正入るだろうし、もうちょっと短くなる可能性は高いと思います。ここのスタッフの技術力は本気ではんぱないからね。
そうでなくとも全3幕それぞれ見所・見せ場があって、しかもそれぞれカラーが違うんで(ざっくり言うと1幕が猿之助ショーで2幕がオカマ&ヒーローショーで3幕がスーパー歌舞伎)飽きさせない作りになってますし。
それから前回のスーパー歌舞伎セカンドを観て「四代目のセンスにはちょっとついていけないや・・・」と思われたそこのあなた!今回は(特に3幕は)前回よりもぐっとスーパー歌舞伎寄りですんで、右近さん素敵だし!(知盛みたい!)観て損はないかと!。


ていうか、ああもうああもうっ!みっくんと隼人のアレコレを語りたいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!


あちこちで惜しげもなく動画や舞台写真が公開されてるんでぜひとも確認していただきたいのですが、若手歌舞伎役者のなかでもナンバーワンイケメンと言われる中村隼人さんのサンジはクッッッッッッッッッッッッソカッコいいのでこれはほんとにぜひとも見ていただきたく!。
ストライプのスーツに黒シャツ紫ネクタイ(ちょっとだらしなく結んでる)の上に黒の毛皮風着物羽織ってる(+煙管)とかなんだよこの神衣装!!!!!!!!・・・って、衣装担当したの新感線の団吾さんってマジか!?超納得!!。
そんでこの人はイナズマもやるんですが、これがもう・・・・・・死ぬほどカッコいいから!!!。もうほんと文字通り!死ぬほど!(舞台上も客席も)カッコいいんですっっっっっ!!!。
え?イナズマってカッコいいようなとこあったっけ??と思うでしょう?。わたしもそうは思います。結構な改変がなされてます。おかげでボンちゃんのありがたみが薄れてしまった感は否めません。
だがしかしこれはイイ!!!この演出を隼人とみっくんにやらせてくれた猿之助さん(かなぁ?)には一生感謝します!!と言っても過言ではないぐらいにものすっごいカッコいい場面があるのです!!。もうこの先(再演はあれど)二度とこんな演出を経験することは出来ないかもしれないってぐらいなんで、隼人いい役貰ったなってわたし興奮しながらちょっと泣いてしまったわ。
そしてみっくん。坂東三津五郎さんのご長男でガチの御曹司である坂東巳之助さんはゾロとボン・クレーとスクアードというタイプ違いの役を見事に演じわけてらっしゃいます。ボンちゃん期待通りすぎてこれまた泣ける。
ワンピ好きというだけあって、身体の動きであったりキメポーズだったりがかんっっっっぺきなんですよ。特にゾロ。見た目はまぁね・・・・・・・・・・・・・アレなんですが、サンジはこんなに原作に寄せてんのにゾロはなんで歌舞伎調なんだよってかゾロあんまり・・・かっこよくない・・・・・・(ハッキリ言っちゃったw)ってのはありますが、1幕冒頭で麦わらの一味が海軍と戦う場面があるんだけど、そこで見せる「鬼斬り」はマジで完璧です!!!。これは動画で流すべきだと思うわ松竹!!!。
(この直前に舞台上で黒バンダナを巻くんだけど、最初ポケットから?取り出したバンダナがくしゃくしゃ状態で、そのまんま巻こうとしてるもんだからねじりはちまき状態になっちゃっててw、ただでさえ魚屋か大工でしかないのに自分でダメ押ししてどうすんのみっくん!??とドキドキしたんだけどw、冷静にバンダナを広げて綺麗にしてから巻きなおしててマジ安堵だった・・・)(生バンダナ巻きはなんかちょっと・・・興奮するよw)
そしておそらく誰もが「ここは間違いない」と思っていたであろうボンちゃんはなにもかもが素晴らしかった。動きもだけど特に表情が完全に原作のソレなんで後方のお席の場合はぜひともオペラグラスを持参すべきと強くおススメしておきます!(会場でも借りられます)。


とまぁ今回の“釣り餌”である若手二人については全力で最高だ!!!と言えるわけですが、この舞台には本物のイケメンがいるのです。そう、福士誠治くんのエースでございます!!。
エースまじカッコいい。なにからなにまでカッコイイ。
そして福士くん、めちゃめちゃかぶいてます。猿之助さんが福士くんの勘の良さというか歌舞伎力というか、そういうものを認めているのは知ってましたが、前回の空ヲ〜ではそこまででもなかったのに今回は、それもワンピースでここまでかぶかせるのは間違いなく猿之助さんのセンスだろう。
それゆえと言っていいのかわかりませんが、解放されたあとのエースはかなり盛られてるんだけど、盛りすぎというか、その場面はそうじゃねーだろう!と思わずにはいられなかったあのシーンも「ここ!!」ってところはしっかり再現してくれているのでわたし的には許せる範囲。


でも・・・・・・・でもですね、ほんとそこに引っ掛かったら負けでしかないんだけど、やっぱり・・・やっぱりさぁ・・・・・・・・ルフィ白塗りっておかしいだろう(笑)。
だって福士くんエースは結構な再現度なんですよ。もう見た目からして「あ、エース」なのよ。それなのにルフィさん真っ白なのはどうしたものかと(笑)。
花道で兄弟そろってキメポーズするのとかすっごいカッコいいんだけど、頭の半分で「ルフィさんが白くなければなー」って思う自分を否定できない(笑)。
ここで最初に書いた「否」の話になるんだけど、この舞台のルフィは『弟』という要素だけを過剰に抽出したように感じたんですよね。事あるごとに「俺は弱い」「俺は一人じゃなんにもできない」とか言うルフィで、だから仲間が必要で、エースが必要で・・・ってなところはわかるとしても、ニュアンスが違うんですよ。ものすごくざっくり言うならば原作のニュアンスはポジティブだけどこの舞台はネガティブなの。わたしにはそう聞こえた。
「俺は弱い」と言うのはいい。でもその「弱さ」ってのは人間的な弱さではないとわたしは思っているのだけど、この舞台のルフィは普通に「弱い」んですよ。「脆い」と言い換えてもいい。わたしにはそう見えた。
なんでこんな役作りにしたのか、それはルフィが「弟」だからなのかなと。
でもエースとルフィって「兄弟」だけど、エースは何かあればルフィを守るし、ルフィもエースの強さを信じてはいるんだけど、単純に守り守られする関係じゃないよね。普通の「兄弟」とは違うよね。
それなのに、この舞台では普通のというか普遍的なというか、誰もが理解できる「兄弟」という枠に嵌めちゃってる。
原作を知らない人でも楽しめるようなものを目指したってなことなんで、これはその結果ということになるのでしょうが、これをどう捉えるかによってこの作品(スーパー歌舞伎としての評価ではなくワンピースという漫画の歌舞伎化という意味で)の評価は真逆になるんじゃないかな。
ってなことをまとめると「ルフィさんが白塗りっておっかしーだろ」ってことで(笑)。


脇を固める澤瀉屋の皆様はいつもながらの安定感です。そして浅野さんのイワ様は必見。2か月このテンションがもつのか非常に心配になるぐらいのイワ様です。
あとあとわたし出るって知らなくて、1幕終わってやべえメイクすごすぎて誰が誰だかわかんねえ!っつって慌てて筋書買ったら「青雉(クザン)市瀬秀和」とか書いてあって「ええええええ!?」と驚いてしまったんですが、いっちーにもんのすごい見せ場があるんでいっちーファンの方はぜひとも観たほうがいいです!。本役のほかにもオカマ役やるし!。




ネタバレなしとなるとこれぐらいのことしか残せない・・・。
とにもかくにもついに始まったワンピース歌舞伎、ここからどう進化していくのか楽しみです。どうかどうか何事もなく、千穐楽まで突っ走れますように。



おまけ:幕もワンピバージョン!!









あ!あとあと演舞場に来年の浅草のチラシがあったので光速で確認したら新悟くんのお名前があって心の中で全力ガッツポーズ!!(そのせいで心の五分の一ぐらいは浅草に向いてたw)。