宮部 みゆき『悲嘆の門』

悲嘆の門(上)

悲嘆の門(上)

悲嘆の門(下)

悲嘆の門(下)

これ、以前読んだ作品(荒神)でも同じことを思った記憶があるんだけど、化け物という存在に対し現実というか現代が抱える問題というか、まぁそんなようなものを含ませているのだろうとかそんなことよりもまず『また老人と少年か!』という思いが先に来てだな(笑)。今回は大学1年生の男子なんで少年というよりは青年と言うべきでしょうが、これ可能なら高校生にしたと思うんだよねぇ。バイトしてたり時間にある程度融通がつけられるという物語の都合上やむをえず大学生にしたと、でも未成年であることは譲れないから大学一年生(18歳)だと、作中でも老人に大学1年の男子を「子供」と言わせてるぐらいなんで、宮部さん的にここがギリギリのラインなのだろうと。相変わらずブレないなこの人・・・で上巻が終わってしまった(笑)。それが許されるのも、それで面白いものが書けるのも、宮部みゆきだからこそだよなーと。
で、上巻のラストで衝撃の事件が起きたもんだからこれどうなっちゃうの!?と思ったら、下巻で主人公が化け物と契約して左目が変化しちゃうってそれどこの坊ちゃんだよと(笑)。いやあ、イマドキこんな堂々と「僕の左目がっ!」をやれるとか、俺正義を暴走させ闇落ちした主人公を救うのが幼女とか、ほんとすごいわ宮部みゆき