川瀬 七緒『147ヘルツの警鐘』

147ヘルツの警鐘 法医昆虫学捜査官

147ヘルツの警鐘 法医昆虫学捜査官

シリーズものだそうですが、初めて読む作家さんになります。
女性主人公である『法医昆虫学者』が死体に巣食うウジや事件現場付近に存在している「虫」を徹底的に調べることで事件解明をするというシリーズのようですが、相棒になるであろう刑事(コンビ)のキャラや主人公との関係性含め、良くも悪くも2時間ドラマチックな作品でした。必要最小限の登場人物に留め警察内部の軋轢等を極力省いているので展開がシンプルである反面深みはないあたりがその理由ですが、主人公の人となりとレギュラーになるであろうその周辺の人物はしっかり描かれているのでシリーズ1作目としてはバランスいいなという印象です。
印象と言えば、一番残ったのは主人公のこのセリフ。

「人を含めた全動物の90パーセント以上が虫。もっとわかりやすく言えば、人ひとりに対して、虫は十億ね。」

つい先日虫に襲われ北海道が全滅するんじゃ!?というパニックホラー小説を読んだばかりなのですが、圧倒的な数の暴力って本能的な恐怖だよなぁと。