宮木 あや子『官能と少女』

官能と少女

官能と少女

2006年にR-18文学賞の大賞・読者賞を受賞した方だそうで、私にとっては初めての作家さんになります。
タイトル通り、少女(という名の「女」)があらゆる対象に抱く「恋愛感情」を痛々しく狂おしく、そして官能的に描いた短編集です。
まぁ全編性愛シーンはふんだんにあるんでそういう意味では「官能」的と言えるでしょうが、でもエロティシズムはそうでもない・・・なぁ。例えば同性相手でしかそういう気持ちになれない少女がいるとして、読みたいのは同性相手との行為そのものではなく、なぜ少女はそういう“歪んだ”性癖の持ち主なのか、その理由であり少女の内面なんだよな。それが描かれてないとは言いませんが、なんていうか・・・上っ面だけなんだよね。かと言ってそれを想像するだけの余白があるわけでもなくて、それこそ少女というカタログを見せられてる感じがしました。
エロシーンも「どこを触ってほしいの?」「なにをどうしてほしいのか言ってごらん?」とかベタすぎる描写ばかりで、そんなこと言う人実際にはいねーだろ(笑)と。
「春眠」は好きかな。男子高生ではなく救いを求める女子校生は結構魅力的だと思う。とはいえ帯にあるように主人公が“自らの幼児体型を哀し”んでいるとは全く気付かなかったけど。


・・・・・・ってのが途中までの印象だったんですが、ラストの1篇がその私が気になっていた女子校生視点の話、つまり「春眠」の続編で、そういうオチかよー!?とこれは嬉しい驚きでした。この1篇でこの本の評価5割増し!!。
俄然他の作品も読んでみたくなったんですが、とりあえず「学園大奥」という作品が非常に気になりますっ!。