- 作者: 五十嵐貴久
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2007/09/11
- メディア: 単行本
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ドラマ化もされた『交渉人』の続編という位置づけになるのでしょうか。石田警視正に判決が言い渡される場面から物語が始まります。・・・と書きましたが、交渉人ってどんな話だったっけ?なんか病院に立てこもるとかそんな話だったような・・・??ぐらいの記憶しかない私でもとりあえず読めるぐらいなのでそこまでがっちりとした続編というわけでもないかな、という感じ。交渉人も確か途中までは地味な(緊迫した)ネゴシエーション小説だったのに、気がついたら愛と涙のロマンティックサスペンスになっちゃってこの人のエンタメ魂はすごいな(これはこれで褒めてます)と思ったような覚えがありますが、今作もエンタメ魂は健在。携帯の着信画面に浮かぶ拘留中の男(元彼)の携帯番号、警視庁のHPに突如張られた見慣れないリンク(青い画面に赤い文字)、犯人と交渉人にしか思いつかないであろう4文字のパスワード、爆弾を抱えて電車の中を必死の形相で車両移動する刑事、迫るタイムリミット、メールやネットや口コミで瞬く間に広がっていく噂、戦場と化したターミナル駅などなど、いつも以上にキメ場面が動画で浮かび、つくづく映像化向きの作家だなぁと思いました。この状況でここまでパニックになるとは考えられないし、実際に類似の事件が過去にあったにも関わらず全くリアリティがないところもまたこの人らしいかと。
前作にも増してネゴシエーション率は低いです。どっちかと言えばプロファイリングの要素の方が多いと思いますが、これは単なる勘とこじつけでしかないと思う(笑)。