貫井 徳郎「『夜想』

夜想

夜想

突然の事故で妻と娘をいっぺんに失い自分一人だけ助かった雪藤は、気力を失い哀しみと孤独を抱えて日々を過ごしていたが、偶然出会った遙が雪藤の気持ちに共鳴してくれたことを知り、新たな人生の目標を見出す。遙もまた、生まれつき特殊な能力を持ったことで孤独を抱えていたが、雪藤の存在が遙の支えとなり、能力をより生かす道へと進むことを選ぶ。やがて遙の力は多くの人の知るところなるが・・・。


読み終わった瞬間に思ったことは、貫井さんのくせにこの前向きなラストは何だ!?ということでした。軽く衝撃。ちょっとスケールはちっちゃいけど貫井さんらしい仕掛けはあったし、雪藤の心の動きも充分理解できるものだったし、読み応えがなかったわけではないんだけど、でも心に引っ掛るようなものでもなかったな。貫井さんのくせに読後感がイイってどういうこと!?って意味では引っ掛りましたけど、もう一味なにかが欲しかったなという感じ。
宗教・・・というわけではないんだろうけど、こういう集まりにサークルのノリというか “グループ全員入ってるんだからお前も入れよ”みたいなノリで参加しちゃう若者って、そんなに多くもないだろうけどでも少なくもないんだろうな。それがなんかちょっと怖いというか、私には到底理解できない世界だなと思う。
先に読んだママンが「遙は絶対ZARDの人」だと言ってたんだけど、確かにそんな感じ。