『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』@新宿FACE

どうだった?と聞かれたらまずこう答えます。
「ヤマコーさん足細っ!ケツちっちゃっ!!肌むっさ綺麗!!!」
いやー、マジで衝撃ですよあの美肌は。綺麗な男をそれなりに見てますが、肌の綺麗さはヤマコーさんがNO.1じゃないですか?それでいて男として(ここ重要)完璧なる均整の取れた上半身ですからね・・・ヘドとしては微妙なところですが、ビジュアルインパクトは予想以上でございました。ヅラとったあとのデコッパチも含めてwww。

でもなぁ・・・これ“ヘド”なんだよなぁ。むしろ綺麗じゃダメなんだよなぁ。オスカルみたいな金髪巻き毛ヅラにラメラメアイシャドー+ビンビンの付け睫毛、片肌モロ見えにへそチラ、そしてホットパンツに網タイツ、おまけに14センチ?のヒール姿なのに、わたしだけかも知れないけど、どこかしら清潔感が感じられてしまったのです。猥雑さもなければ退廃も寂寥もない。一番肝心の愚かしさゆえの哀しみもさほど伝わってこなかった。なんかこう、もっとさらけ出して欲しかった。ビジュアル的にも内面的にも。苛酷な人生を送ってきて、いいときもあったんだけど今は落ちぶれまくった状況で・・・という場末感がないんだよな、ヤマコーさんのヘドには。トーク(というか芝居)はここまでやると逆に清々しいわと思うほどのそぎ落としっぷりでしたが、それでも言葉の端々から容易に感情を読み取れたし、そこらへんはやっぱすげーなヤマコーさんと思ったけど。
で、歌詞が英語なのは雰囲気を大切にしたいからだとして理解するとしても、歌詞カード渡されただけで日本語の歌詞が全くでないってどういうことよ。歌は上手いんだけど、何歌ってんだかわかんねーっつの。ていうか、アングリーインチの皆さんはなんだありゃ。バンドの人達はただのバックバンドってんじゃなくて、アングリーインチということで間違いないですよね?上手いことは上手いんだろうけど、なんであんな地味なの?あたしの席が3列目の下手ブロックでして、つまり前にずっとあのバンドの人達がいたわけなんですが、ヘド見てた顔を真正面に戻すとじみーなおっさん達がヌボーっとしてるわけですよ。いちいち醒めた。けっしてバンドの人たちが悪いわけじゃなくてね、演奏しかしないとしてもアングリーインチも舞台美術の一つだと思うんだよなー。あんまり演出のことは分からないけど、せっかくほんとにヘドがライブやるような場末の会場(だって汚いもんw)でやってるんだから、もうちょっと“らしい”かっこさせるだけでずっと空間にヘドの世界が溶けたんじゃないかなと思った。

イツァークはなんだか楽しそうだったw。かつら手直ししてみたりシャボン玉吹いたり、結構ヘドウィグと仲よさそうに見えました。いいのかなあれで。中村さんは歌もうまいし、声での演じわけもまぁ出来てたと思うし(ヘドにやって欲しかったけど)なかなか器用な人なんだなーと感心したけどイツァークの人物造詣は疑問。ヘドウィグが話せばちゃんと分かるようなヘドだけに、イツァークの苦しみは感じられなかった。むしろヘドの方が抑圧されてるっぽかったもんw。そんで変身後はアイドルかよwて思ってしまうほどのふわふわヘアに白ドレス・・・エェェェェ!?ヘドの鬘を被ってドラァグクイーンに戻るのがミソなんじゃないのかよー!?ちらほら感想を読んだところ、ヘドのストーリーを知らない人がラストシーン見て「イツァークは女に戻って男に戻ったヘドウィグと結婚したんだと思った」と言ってたみたいな記述を複数見かけまして、瞬間ハァ!?!?って思ったんだけど、でも満更そう見えなくもないかな・・・という気がするわけで・・・。

なんかあまり芳しくない感想ですが、でもね、最終的にはなんか感動しちゃったというか、むしろ神々しさすら感じてしまったんだよなー。いやそれはヘドじゃないだろwwwとなんだかおかしくなっちゃったんだけど、どう見てもまだまだいくらでもやり直しできそうなヘドなんだもん。カリスマ性というか、ほんと神々しいオーラが出てたの。大丈夫、あんたまだイケるよ!って言いたくなるほど。それってヘドじゃないと思うんだけど・・・でもなんか感動した。なんだろうあの感覚は。筋粗いし演出ショボイし毒はないし正直不満で一杯なわけですよ。見終わった瞬間はライブとしてもショーとしても舞台としても中途半端な出来にパイプ椅子に座り続けたケツの痛みも加わって、はぁー・・・・・・疲れた・・・ってな気分7割だったわけですよ。それなのに、帰りの電車の中で復習してるうちにもう一回見たくなってる自分に気がついたw。なにこの妙な魅力。ヤマコーさんのヘドはヘドが持ってる一番ピュアなところを掬い上げたヘドなのかなーなんて思いました。半身を探し続けてやっと見つけたと思った相手には捨てられ裏切られ、それでも心の底では愛し続ける純粋さが眩しかったのかなーって。最後にトミーのライブ会場を見つめる目はちょっと忘れられない。

やっぱりヤマコーさんにヘドは早かったかなぁ・・・とは思います。演技力云々ではなく、ヤマコーさんはまだ若くて綺麗でキラキラしすぎてるから。確かにみずみずしいヘドで、今回はそれを表現しようとしてたわけで、その点はむしろ成功と言えるのだろうけど、でもそれはあたしが求めてたヘドじゃないんだな。いろんなヘドがあっていいわけだから、もちろん否定はしません。あたしが見たかったヘドではなかったというだけのこと。ヤマコーさんがもうちょっと歳を重ねたら、その時もう一度山本ヘドが見たいな。あ、もちろん違う演出家で!