京極 夏彦『邪魅の雫』

邪魅の雫 (講談社ノベルス)

邪魅の雫 (講談社ノベルス)

うーん・・・基本的に京極堂スキー!だとは思ってるんだけど、今回ばかりは京極堂の存在が邪魔だと思ってしまった。益田や山下、そして青木がそれぞれこれまで起きた事件で成長した様をウジウジと発揮し、もう一歩で自力解決に辿りつきそうだったのに、いいとこで出てきて結局美味しいとこかっさらってくんだもん。益田担としてはハンカチ銜えてキィィィィィィ!という気分。
こんだけ分厚いもん読まされたってのに京極エキスが満タンにならなかった。なんだろうなぁこの報われなさ、読み終わった後に感じた虚しい達成感は。これぐらい文量あるもん餌として与えとけば1年半ぐらいはもつだろうとか思ってたら大間違いですよ、夏彦!量もだけど大切なのは(夏彦オリジナリティの)質よ、質!

つーか“ロイヤルバカオロカデリシャス”ってなんだよ。


余談ですが、電車の中でこれ読んでる途中、寒くなったから上着を着ようとして一旦これを鞄の中(トートタイプ)の中に入れて網棚に載せたんですよ。んで、上着に袖を通したその瞬間、電車がユラっとゆれて鞄から邪魅が飛び出して、目の前に座ってるザ・サラリーマンなおじさんの脳天に直撃したのですよ!!!!!当然すんごい音がしたもんで、車内が凍りつきました。ええ。常々夏彦の本で人殺せるんじゃないかなーなんて思ってた私は、その瞬間「殺しちゃったかも!?」て本気で思いました。怖かったです。まぁ死ぬわけもなく、泣きそうになりながら全力で謝ったら快く許してくださいましたけど。オチは特にありません。