- 作者: 中村文則
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/06/30
- メディア: 単行本
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だってこれ、ものすごいザックリとあらすじを語ると実家が大金持ちのため金には困らない男が、大好きな『白ワンピースのあの娘』を『損なおう』と狙う(男の)父と兄から守る話ってだけなんだもん。「家系」も重要な鍵の一つなので、いろんな要素が時代をまたぎ織り込まれている結構壮大な物語だと思うのに、でもものすごく小さい物語にも思えるわけです(笑)。そこに『邪』だの『戦争』だの『テロ』だのそそられる単語が散りばめられ、渋い探偵とその美人助手や男のソウルメイトとなるテロリスト、ワケありっぽいまぁまぁの女(美女というほどではない)などなど雰囲気がある脇役が絡むので、主人公がうじうじと自問自答したりダラダラと他人に語る言葉を聞き流しても(流し読みしても)充分楽しめる。もちろん中村文則という作家の肝はその「うじうじ」であり「ダラダラ」にあるわけだから読んだほうがいいに決まってるんだけど、でもまぁ・・・頭痛くなっちゃうんで(笑)、それを抜きにしても楽しめるものを書いてくれたってことは中村さんがまた一つ違う場所に立ったということだと思うので、それはファンとして嬉しい限りです。
この装丁タイトルと合わせてデス●―トを思い起こさせるのであまり好みではないんだけど、でも売れそうな気がする。