森 博嗣『カクレカラクリ』

カクレカラクリ?An Automaton in Long Sleep

カクレカラクリ?An Automaton in Long Sleep

廃墟マニアの郡司と栗城は同じ大学に通う憧れの花梨に近づくために計画を練り、花梨の故郷である鈴鳴村に行くことに成功する。花梨だけでなくもちろん廃墟もお目当てである。思う存分廃工場を堪能する彼らだが、村に伝わる奇妙な伝説を聞かされる。その伝説とは、その昔花梨の実家である真知家とそのライバル関係にある山添家が共同で、村に住んでいた天才絡繰り師に隠れ絡繰りの制作を依頼したという。その絡繰りは自動的に時を刻み、120年後に動きだすらしい。そして今年がその120年後。2人は花梨とその妹の玲奈と共に、隠れ絡繰りを探し始めるが・・・。


自他共に認める根っからの文系なもんで(それが理由になるかと言えば微妙なとこですが)苦手としてる森作品なのですが、ドラマ対策で購入。刊行前にキャストが発表されてますので、当然それを想定して読みました。
そういうつもりで書いたのだと想像しますが映像化向きな作品・・・というよりも、映像化するための作品ですね、という感じ。まず絡繰り自体が映像向きでしょ。そして“隠れ”てる絡繰りを捜す過程でポイントとなる暗号のようなモノがすこぶる映像栄えしそう。これ読みなれてる人なら一発で分かる程度の暗号なんだけど、実物をちょっと古めかしい雰囲気で見せられたらオオッ!?って思うだろうし、この暗号が何を示しているのか、それが解かれる瞬間を映像で見たらオオオオッ!!!って思えそうな感じ。何度もいいますが読みなれた人ならば頭の中で想像できるレベルですから盲点ってほどでもないけど、無理に作ったような、んなもん分かるわけねーじゃん!的なものではないので、なるほどねーって思えると思う。それ以外はまぁ普通・・・ですね。へんに小難しいわけでもなく、天才が出てくるわけでもなく(隠れ絡繰りを作った人物は天才ですが)森作品だと思って構えて読んだ分、ちょっと拍子抜けしてしまうほど普通に読めました。あんまり“森作品初の映像化”という期待はし過ぎないほうがよさそうです。
ドラマの情報を見ると、微妙に登場人物の名前が違うんだな。ヒロイン花梨さん(ドラマでは果梨さん)役の栗山さんはなかなか合ってそうに思えますが、廃墟マニアの2人が思いっきり不安。心配してたような小難しいセリフはそれほど無さそうですが、なんたって2人揃って棒寄りだからな・・・。それ以外のキャストで気になるのは千都さん(鰐淵晴子さん)と源次郎さん(泉谷しげるさん)がちょっと若すぎではないだろうかということと、わざわざ吉村役としてモロ師岡をキャスティングしたからには原作とは違いそれ相応の働きをするのかということと、何よりも気になるのが天才絡繰り師・機九郎役のSUGIZOですよ。SUGIZOってあのSUGIZO!?LUNA SEAの!?回想シーンでちょこっと出るぐらいだろうけど、演技できんのかよ!?