- 作者: 真梨幸子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/06/23
- メディア: 単行本
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都心ではない場所に立つ高層マンションで起こった殺人事件をルポライターの取材、つまり関係者や被害者を知る者達の証言を元に描く手法と聞くと、宮部みゆきの「理由」を思い浮かべてしまいますが、この作品にそれほどの謎はありません。あるのはひたすら女ならではの“負の感情”。ルポライターと担当編集者は女であり、被害者は若いとはいえない二人の女。加害者とされる男のことはほとんど描かれず、被害者の女を知る人物、これまた女達が「ここだけの話ですけど」「今だから言いますけど」「本当はこんなことは言いたくないんですけど」なんて言いながら、被害者のことを好き勝手に証言する。読みながら先日読んだ貫井徳郎の「愚行録」を思い出しましたが、内容(ストーリー展開)はともかくとして、女の黒さの描写は断然こちらの方が上。是非ともこの人にはこの路線を突き詰めてもらいたいです。