辻村 深月『ぼくのメジャースプーン』

ぼくのメジャースプーン (講談社ノベルス)

ぼくのメジャースプーン (講談社ノベルス)

「ぼく」たちが通う小学校で飼っていたうさぎが酷い方法で殺された。血塗れで苦しむうさぎを一番に発見したのは、誰よりもうさぎを可愛がり世話をしていた「ぼく」の大切な幼馴染のふみちゃんだった。ショックが大きすぎてふみちゃんの心は壊れてしまい、全ての感情を閉ざしたまま学校をお休みしている。不思議な力を持っている「ぼく」は、ふみちゃんを助けたいと願い、「ぼく」と同じ力を持つ先生のところに通い、うさぎを殺した犯人に与える罪の重さを計る。


毎度のことながらウジウジしてる。私目立つの好きじゃないし・・・って言いながら、心の底では中心にいたくて堪らない。そんな自分の気持ちに気付いてるんだけど、だからといって中心にいけるわけがないことも分かってるからあえて半歩ずれたところに居る。自分に全く自信がないわけじゃなくて、そんな自分にちょっとだけ酔ってる。物語に人格があるとすればこういう感じなんだよな。自分愛に溢れてる感じ。ひたすら淡々とウジウジしてる物語でした。こういう作風なのは分かってるのになんで読むかなぁ私は。
クラスの中心的存在の子に対する羨望と妬みが入った嫌味描写は意識してのことなのでしょうか。結構無意識に書いてるような気がするんだけど・・・。
ちょっとした遊びというかサービスで他作品とリンクさせるのはいいんだけど、動物園に一緒に行った二人の男女はこの物語には不要だと思った。とりあえず私は迷うことなく同じ目に遭わせる派です。
感情をシャットアウトしたふみちゃんがうさぎの前足を撫でるところで泣きました。動物ネタには物語の出来不出来に関わらず反応。