朱川 湊人『満月ケチャップライス』

満月ケチャップライス

満月ケチャップライス

ちょっといろんな事情が重なり窮屈な生き方をしてる聡い少年とナイーブな妹が、女手一つで二人を育ててる母親の新しい男・・・らしき兄ちゃんと毎日一緒にご飯を作って一緒に食べるお話かと思いきや、ガチ超能力だのオウムだのが絡むハードな話で驚いた。
物語の中心にあるのは“超能力”というファンタジー要素だし、それまでは中学生という微妙な年頃の少年のちょっと切なくてちょっと苦しい成長物語だったのがひとたびあの教団が絡みだすとたちまち禍々しい物語になってしまうんだもん。
文字通り特別な力を持つ弱くて優しい人間が、大切な人々に自信や希望を与え、最後までそれを護ろうとするヒーローものと言えなくもないかなーと思うのだけど、そのヒーローこそが誰よりもいろんなものを抱えているわけで・・・と読みながら右腕の鳥怪人とともに世界を救う某映司くんを思い出したりしました。