『Sweet Blue Age』

Sweet Blue Age

Sweet Blue Age

“すべての偉大なる作品は、青春文学なのだ。”だそうです。いま、最も鮮烈な7人の書き手がおくる青春文学ベスト・トラック集(帯より)


角田光代「あの八月の、」
大学時代“キネマ友の会”というサークルに入っていた男女7人・ひと夏の恋物語。心と身体の欲望が一致しない年頃に、3人以上の男女が集まり、そこに酒があったなら、こういうことになって当然なのです。はい経験者。みんな元気かなぁ・・・とちょっと胸が軋む。私の中でも、消化するためにはにはまだ時間が足りないんだな。後悔なんてしてないけど。


有川浩「クジラの彼」
潜水艦乗りと普通のOLとの遠距離恋愛物語。○○乗りって言うな。自衛隊好きの私にとって、この作家が描く物語はあまりにも欲望全開すぎて同属嫌悪に近い気持ちになってしまうのです。自衛隊合コン行きてーっつの!


日向蓬「涙の匂い」
親の仕事の都合で田舎町に引越した少女の初恋物語。初めて読んだ作家さんですが、とても良かった。物語自体は目新しいものではないけれど、田舎の町や小学生達の描写、閉塞感、そしてその年頃の少女の心の動き、それらのバランスが程よくて、読み応えがあり読みやすい。心にしまっておける初恋の思い出がある人って、実のところとても羨ましい。


三羽省吾ニートニートニート
この作品を目当てで、この本を購入しました。これ広げて!!この物語をもっともっと広げて!!!学生時代のエピソードがもっと読みたいし、キノブーがヒッキーになってしまったワケも、タカシがこんな人間である理由もこれからのタカシも気になるし、なによりレンチの破壊的人生が面白そすぎる。ぐるぐる同じところを回り続けるのは楽なんだけど、いつまでも回り続けることは出来ないのだ。


坂木司「ホテルジューシー」
大家族の長女として、自分以外の人の為に時間を使ってきたお姉ちゃんの自分探し物語。これまた初めて読んだ作家さんです。沖縄のホテルを舞台にしたちょっと不思議で、ちょっといいお話。劇的ななにかがあるわけではなくて、ゆっくり時間が過ぎる感じ。みんな適度に駄目なんだからあんま頑張らなくてもいいんだよと。


桜庭一樹「辻斬りのように」
“辻斬りのように男遊びをしたいな、と思った。”という衝撃の一文から始まる平凡な白っぽい丸のような25歳の女教師が変わろうとする物語。なんかちょっとよく分からない。ある時突然、天啓のように変わらなきゃ!と思う瞬間が訪れるというのは分かる気がするんだけど、それでどうして男遊びなんだろう。おいおいお前大丈夫か?と、子供に何て言うんだ!?と思ってしまった。


森見登美彦夜は短し歩けよ乙女
意図せざるうちにその夜の主役となってしまった彼女と、彼女に恋焦がれる私の、ある一夜の冒険譚。こちらも初めての作家さん。とても丁寧な口調で描かれたとても馬鹿馬鹿しい物語で、とても面白かった。“私は太平洋の海水がラムであればよいのにと思うぐらいラムを愛しております。”ここにグッときてしまいました。私は白ワインだったらいいと思います。どんなに哀しく辛いことがあろうとも、どんなしがらみがあろうとも、酒を酌み交わせばなんとかなるさとそういうことです。