三羽 省吾『ニート・ニート・ニート』

元同級生で揃って現在ニート中の男三人が出会い系で引っ掛けたワケあり中学生と車で北海道に向かう・・・というロード小説?(映画の場合は「ロードムービー」って言うけど小説の場合はなんて表現すればいいんだ?)です。言ってしまえば「自分探しの旅」という恥ずかしい話なのですが、物語は生まれついてのダメ人間・レンチの口車に乗せられたタカシと引きこもり中でありながら“車を持っていて金を引き出せる”からと拉致状態で連れ出されたキノブー二人の視点で語られ、二人の性格が根本的に真逆なので話に緩急が生まれてて、でも肝心のある意味生活能力はありそうだけどコミュニケーション能力に難ありまくりな謎の中学生・月子の目的や気持ちは全く分からないので謎的なものもあって、軽いんだけど読み応えがありました。月子が取った意味不明な行動の理由はちょっとホロっときてしまったし、そんな月子となんだかんだで「絆」が出来てしまう三人の男も微笑ましいし、アホで可愛いロード小説?でした。
ただ、作中でキノブーが持ってたipodからたくさんの曲が流れるのですが(アーティスト名と曲名の描写がある)、3分の1も知らなかったのでそれがなんだか悔しかったです。曲を知っていれば特にレンチに対する理解度はずっと深まったんだろうなぁ。