天童 荒太『包帯クラブ』

包帯クラブ The Bandage Club (ちくまプリマー新書)

包帯クラブ The Bandage Club (ちくまプリマー新書)

文量としては大したことはないのですが、小さな物語でも天童荒太がみっしり詰まってるという感じ。
自分だけじゃないんだ、誰もが傷を抱えているんだということを感じることで自分の存在を許すことができる。街中に巻かれた白い包帯というビジュアルは、まるで生きることは傷つくことだと言われているような気がした。
過去である包帯クラブが発足してからしばらくの物語が主体なのですが、その間に、成長した包帯クラブのメンバーからの現況報告が挟みこまれている。あの少年少女達は、どんな経験を重ねた上でこの現況報告を書いているんだろう。みんなそれぞれちゃっかり夢を叶えてるじゃないか。結局、弱さと強さは背中合わせなんだよな。
こういう本を、中学生の頃に読みたかったなぁとつくづく思う。