『野ブタ。をプロデュース』第8話

ドラマが始まる前に原作を読んでいるので、人気者修二の転落、という展開に耐性はあったつもりです。でもやっぱり、辛い。原作の修二とは違い、ドラマの修二が、本当は人が大好きな弱くて寂しがり屋だということを知ってしまったから。

冒頭、久々の母親からの電話で「友達何人いる?」と聞かれた修二は、咄嗟に「じゃぁ二人」と答える。当然頭の片隅には彰と野ブタの存在があったのだろう。二人と出会う以前の修二だったら、何人と答えたんだろうか(このシーンで、桐谷家の3人が、しっかりパジャマの裾をパンツにインしてて彰の教えを守ってるとこにホッコリ)。

帰宅途中、酔っ払いに絡まれてるOLを見かけた修二は、助けようとしただけなのに巻き込まれてしまい、駆けつけた警官に事情を話すも信じてもらえない。「俺の人生完璧に終わった・・・」と呟く修二に、居合わせた町内会会長のオッサンが「世の中本当かどうかなんてどうでもいい。信じてもらえる男かもらえない男かどっちかしかない。それに、どん底に落ちても人生終わりじゃない。どん底でも人生は続く。なかなか終わってくれない」と告げる。このセリフ聞いたとき、一瞬目の前が真っ暗になりました。どん底に落ちたからって、人生は続きなかなか終わってくれない・・・。それ以上落ちることはないけど、必ず上がるとも限らなくて、そしてそのままどん底人生を歩みつづけることになるかもしれない、か。重い、重すぎる。その後ゴーヨク堂が会長に渡した雑誌のタイトルは「ローリング人生」。「生きていれば最悪の日もある。されど最高の日もある。それが人生」考え方ひとつで、現状の意味が変わるということか(OLさんですが、容赦なく殴る蹴るとものっそい強く、逃げるときはハイヒールを脱いで逃げるあたり、相当喧嘩慣れしててワロタ。そして修二の自転車を借りて嬉しそうに乗りまわるデルフィーヌの中の人は、本気で自転車好きなんだなぁ)。

数日後、修二はクラスメイトのタニが数人にボコられてるところを目撃。咄嗟に助けようとしたものの、先日の出来事で信じてもらえないことに恐れを抱く修二は、見て見ぬふりをしてしまう。てめーのせいでボコられといて、たまたま通りかかったクラスメイトが助けてくれなかったって恨むタニもタニだけど、それを言いふらすデスティニーの二人は最低だ。こういうやつってあらゆるところに生息してるんだよなぁ。そして、この修二の行動は、先日の事を差し引いたとしても責められても仕方ない行動だと思う。警察呼ぶぐらいしてもいいんじゃない?というクラスの女子の言う通りだと思った。自ら進んで上辺だけの人間関係しかしてこなかった修二だからこその報い・・・なんだろうなぁ。「お前ほんと口うめーから、そうやってまたごまかそうと思ってるんだろうけど、お前ってそういうヤツだったんだよな」ってタニの言葉が、クラスメイトたちがこれまでは意識してこなかっただろうけど、修二に対してどこかで思ってたことなんだろう。
警察官に言われた「みーんなそう言うのよ。信じてくださいって」という言葉を思い出した修二は、信じてもらおうとする努力を放棄した。ヨシダが「本当にタニのこと見殺しにしたのか?」と尋ねてくれたのに(この時ヨシダは修二を責めるのではなく、弁解であれなんであれ、修二の言葉で説明してくれれば何らかの対応ができるのに、というつもりだっただろう)、何も言わずに逃げるようして立ち去った。信じてもらえない怖さ+生来の諦め癖のせいで、ああいう行動に出てしまった修二だけど、あれじゃ孤立しても仕方がない・・・と思わざるを得ない。

ハトに八つ当たりする修二の元へ、とうとう黒幕の柊登場。この子だろうとは思ったけれども、その理由にはビックリです。修二か彰が好きだからだの、再婚した野ブタの父親の娘だの、それもどうかなぁと思うけどでもそういう分かりやすい理由なのかなと思ってた。大して意味はないというか、それほど広がる余地がない原作にアクセントをつけて、ドラマとして展開させるために黒幕の存在を用意したのだと思ってた。それが、これほど重要なネタだったとは・・・。しかもその動機の根底にあるものは、修二と同じだなんて。真のターゲットが野ブタではなく修二だとは思いもよりませんでした。柊が言った「桐谷くんの弱点は小谷さんと草野くん」という言葉を否定しない修二。柊が何故修二に目をつけたのか分かりませんが、同属嫌悪というか、柊は悪の直感で修二の仮面に気がついていて、引っ剥がしてやろうとでも思ったのだろうか。その卓越したストーカー技術といい、ねちねちと嬲るドSな性格といい、柊にもこんな風になってしまった理由があるのかもしれないけれど、もともとそういう人間なんだ、と言われても納得できてしまいそうな気がする。

初めてできた友人と修二の間で揺れる野ブタは、キャサリンの手品によって重要なのは真実じゃなく、信じることによってそれが自分にとっての真実になるということを理解する。自分が信じたキャサリンの右手に握られたスポンジを見た瞬間の野ブタの表情がすごく良かった。

そして、野ブタが修二を抱きしめる写真を見たくないのに見てしまった彰。おいちゃんに教えられた通り、ぬかみその中に写真を封印!?することで、自分の気持ちも押さえ込む。写真を見た瞬間、あーきーらーショーーーーック!といいつつも、怒りの表情や裏切られた悲しみの表情ではなく、愛しげに野ブタの顔のあたりを撫でる彰にキュンキュンです。この表情といい、「俺のこと信じてくれる?」と聞いた修二の肩に頭を乗せ、「俺達ずっと親友ばい。」といいながら目を閉じた彰といい、もーう彰出来すぎ。可愛すぎ。

最後のマジックには心フルフル。きっとキャサリンに教えてもらったんだろうな。必死で練習したんだろうな、野ブタ。すっごいベタな演出だけどさ、唐突とも思えるキャサリンのマジックエピがちゃんと伏線になってたし、ビジュアル的にも3人の絆みたいなものが伝わってきた。上辺だけの付き合いじゃなく、ちゃんと向き合ってれば、信じてくれる人が出来るんだよな。「こいつらだけには、信じてもらいたい。」修二の言葉が今回の全てだと思う。素直に感動した。超感動しました。


・・・・・・たださー、まり子健気でかわいそすぎるんですけどー!!!「修二にだけ信じてもらえればそれでいい」って言ってたまり子よ?まり子は誰よりも修二のこと信じてると思うんだけどさー、そこらへんもうちょっと気持ち汲んであげてくれないかなー修二くん。