千秋楽を見てきました。やっぱ劇団は楽を見なくちゃ!というミーハーな音羽屋好きです。席は1階2等席、ちょうど真ん中あたり。
話には聞いてましたが、舞台一面鏡張り(客席が映ってる)から桜の大木が浮かび上がる幕開きはやっぱり「おぉー、すごいな」と素直に驚いた。これがコクーンだったりしたならば、それほどでもない気がするけど、歌舞伎座だと思うと、なんだか凄いことのように思えてしまう。チェンバロの調べにあわせて子供が歌う演出は微妙。なんとなく「蜷川っぽいねー」と思う。そして恋に悩む男が出てきて思いを吐露する掴みを見てなんとなく「シェイクスピアだねー」と思う。これで分かると思いますが、蜷川もシェイクスピアもほとんど分かってません、俺。しかも、その後鏡が割れて船が出てきて、菊様演じる斯波主膳之助が舳先に立つ姿を見た瞬間「どっかで見たような演出なんだけど・・・・・・・・・ってカツンさんの海賊コンかよ」と思ってしまった俺ですよ。だってそっくりだったんだもの。
事前に物語の内容を調べたので(初めて)イヤホンガイドなしで見たのですが、それなりに分かったし、話も面白かった。まぁ全く歌舞伎ではないんだけど。シェイクスピア物としてみるとどうなのかなぁ。なんか難解なイメージがあるんだけど、十二夜はもしかして解りやすい方なんだろうか。物語の進行上、場面の転換が多くなるのは仕方ないとしても、舞台回りすぎ。そのせいで物語に入りこめないというかブツ切れ感がしてしまった。しかもセット変わり映えしないし。花道もほとんど使わないしなぁ・・・まぁ、歌舞伎じゃないしね(今月の合言葉)。
嵐で離れ離れになってしまった双子の兄妹、そして男のフリをする妹の3役を演じる菊之助様は、プレッシャーやらなにやらいろいろあったことでしょう・・・ほっぺたのお肉もかるーく落ちてまして、そりゃーもう可愛かった。特に琵琶姫(妹)が男のフリをする獅子丸が可愛いのなんのって、驚いたり気を抜いたりした瞬間に、言葉遣いや声や仕草に女が出ちゃったりするのですが、菊ちゃん可愛すぎ。獅子丸マジ可愛すぎ。
親父様も2役演じてらっしゃいまして、二人揃って早変わり祭ですか。楽恒例のお遊びは、ウコン色のヘルメット(歌舞伎座舞台のやつだったかな?)を被って登場。思わず笑っちゃった菊ちゃんと必死で堪えるトッキー、そして團蔵さんは台詞震えまくり。今回も親父様は息子を立てつつも、最後はやっぱりオイシイとこを確実に持っていかれました。
オイシイと言えば、今月のMVPは亀ちゃんですよ。もーう俺の中で亀治郎株急上昇。客の反応を上手く捕らえて返すタイミングとか素晴らしい。亀ちゃんの魂みたいなものがビシビシ伝わってきました。こう言っちゃなんですが、歌舞伎以外のものを演じる亀ちゃんが見てみたい。今月の亀ちゃんなら今後きっと話が来ると思う。
それからもう一人。右大弁安藤英竹こと松緑・・・。やっぱり松緑はブサな役が似合う。「ぁうんっ(←上手く文字で表現できない、すっごいアホっぽい返事の仕方)」と「ぼくね〜」とかやりすぎと思いつつも可愛いから許せてしまう。喋り方だけでなく、顔も姿もアホ以外のなにものでもなくて、総赤ラメの靴も可愛かったのですが、お前はどんだけセレブだよってぐらい全部の指にでっかい指輪嵌めてて、右手の人差し指にはりんごの指輪嵌めてんの!その指輪めっさ可愛いやんけー!!!と思ったわけですが、アレはお道具係さんが作ったのだろうか・・・。かなり欲しい。ていうか、ある意味裏主役といっても過言ではないかもしれない安藤英竹の舞台写真がないってどういうことよー!?これホントガッカリなんですけど。わかってねーなー松竹。
最後はニーナを舞台に上げてのスタオベでした・・・あー複雑な思い。まぁでも親父様を筆頭に、みんなすっごい嬉しそうな顔してたんで、ちょっぴりスタオベやってみたかったんだろうなぁ・・・とか思った。そして最後までアホの安藤を貫きとおす松緑(笑。チケット売出し当初は出足があまりよろしくなくて、大丈夫なんかなーと心配したりしましたが、結果的にはほとんど売り切れたみたいで補助席も出てたぐらいだし、ジーパンにTシャツの眼鏡兄さんとかいつもの客層とはちょっと違う感じの人も結構いたし、後ろの席に座ってたお姉さん二人組はニーナオタのようでしたが「竜也もいいけどさー、菊之助くんはまた別の可愛さがあるよねー。また見たいねー。」とか言ってたし、興行的には大成功だったのではないでしょうか。とか言ってこれ以上チケ取りが大変になるのも困りもんなんだけど。