- 作者: 永瀬隼介
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/07/22
- メディア: 単行本
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非常にユルい。なんだか地についてない感じ。格闘シーン以外は朧気といった感じで、登場人物、特に主人公の設定があいまいで、どういう人物像なのか最後まではっきりしなかった。
元々犯罪物ノンフィクションのライターさんで、小説を書くようになってからも始めの何作かはかなりそっち方面、硬派なタイプの作品を書いていたと認識している。すごく硬質な文章で、冬の空き地に吹く冷たい風のような空気を纏っていると思った。私はそこが好きだった。このところ、エンターテイメント色の強い作品を続けてだしているけれど、はっきりいって似合わないと思う。アホっぽい言い方をしてしまえば「ノリ悪くない?」って感じなんだよな。重苦しい題材で、しかも硬い文体なんて本は商業的によろしくないのかもしれない。軽めでしかも短編集みたいな方が求められてるのかもしれない。でも、向き不向きってあると思うんだけどな。なーんとなくぎこちないんだよなぁ、このパターンだと。
多分、今格闘技に夢中なのではないかと予想。一つ前に読んだ「ポリスマン」といいこの作品といい、妙に格闘部分だけ温度が違う。元ノンフィクションライター本領発揮!って感じで臨場感あると思う。そこは面白いと思うんだけど・・・。