桐野 夏生『とめどなく囁く』

とめどなく囁く

とめどなく囁く

夫が海釣りに出たまま行方不明になり、八年後の現在はメーカーの創業者一族であり現在は会長職として悠々自適の暮らしを送る年の離れた資産家の男の後妻として生きる女が主人公で、平穏で穏やかな暮らしを送っているさなか元義母が「息子を見た」と言い出して、そこから元夫の友人たちに会い自分の見知らぬ夫の姿を聞かされ自分がいかに夫のことを知らなかったかを思い知り、やがて死んだものと思っていた元夫が生きているのではないか?と思うようになる・・・という物語なのですが、最初から最後までゾワゾワしっぱなし。話の筋はわかるんだけど何を読まされているのかが一向に見えてこなくて不安になるし、なにより主人公を筆頭にほとんどの登場人物が気味が悪い。嫌いとか気持ちが悪いとかではなく「気味が悪い」という表現がしっくりくるんだけど、それはそのまんまこの作品に対する印象です。
そんな単純なことではないのでしょうが、その象徴が作中でぼろくそに言われまくってる奇妙なオブジェなのかなぁ?。