黒川 博行『海の稜線』

海の稜線 (創元推理文庫)

海の稜線 (創元推理文庫)

大阪府警捜査一課、深町班のブンと総長シリーズ。東京創元社様には足を向けて眠れません。ありがとうございます。高速道路の真ん中で乗用車爆破事件が起こる。中には黒こげの男女二人の遺体が。時限爆弾によるものと断定した深町班は捜査を開始するが、被害者の身元がなかなか判明しない。そして第二の殺人事件が。捜査を進めていくとやがて偽装海難事故と結びつく。複雑に入り組んだ海運業界の利権をめぐる連続殺人事件の真相は!?といった感じ。今作は東京から実務研修に来た若手キャリアの萩原警部補が加わってます。いつもながら、おもしろいのです。あまり知られていない業界(世界)を取り上げている初期の黒川作品たちなのですが、今回の海運業界も全く未知の世界。へぇ〜そうなんだぁと勉強になったりして。もちろん、トリックもしっかりしてます。そしてなんといってもキャラクター、漫才のような会話が魅力なわけですが、今作は東京VS大阪、くっだらないことでブンと萩原(ぼん)が張り合うわけですよ。ほんとくだらない意地の張り合いなんだけどおもしろいんですよね。それでも最後はさりげなく友情が芽生えちゃったりして、さわやかな読後感なのです。次回は6月、同じくブンと総長シリーズで「ドアの向こうに」ですよー。創元は神!