ミネット・ウォルターズ『女彫刻家』

女彫刻家 (創元推理文庫)

女彫刻家 (創元推理文庫)

実は、英ミステリー(と括ってしまいますが)はあまり好きではないです。なんとなく暗いし堅苦しいし・・・ってイメージで、私にとっては読みにくいのです。しかも女性作家。恐らくダルイであろうこと間違いなし。なのに何故この本を読もうと思ったか、自分でもよく分からないのですが、ごめんなさい、出会いってあるんですね!とそんな感じ。ものすごーーーーーーく満足です。母親と妹をバラバラにぶった切って、その死体を再度人間の形に並べ直す(パーツは母親と妹ごっちゃごちゃ)。犯人は身長180センチ、体重は165キロオーバーで汗だく。それも女、ニックネームは「彫刻家」と。ひどい設定なわけですが(好みだけど)、これってやっぱり作者が女だからだと思う。男だったら女の犯人をここまで書けないんじゃないかなぁ。主人公のフリーライター、これがまぁ取材していくうちに女探偵の役割を果たすんですが、この人物も例えば男の作家が描いたなら、気は強いけど、実は弱くてかわいいところもあるんだよってもっと女を意識させる感じになったと思うのです。性をヘンに意識することなく単に犯人も探偵も女だというだけ、というのがよかった。まぁ、私が女だからより堪能できたのかな。エピローグでニヤリ。