その女子と「友達」になる二人の女子と、修学旅行をキッカケに交流を深めた男子二人の青春群像劇です。
転校生の美令と、美令が来るまでクラスの女子カーストのトップにいた更紗はそれぞれ「特別」であるのに対し、美令が来るまで自分は孤独ではなく孤高なのだと思っていた和奈は実は二人のように「特別」などではなく、身近にこれまた「特別」である従姉妹がいることもあって自分もまた彼女らのように特別でありたいと切望する、物語の軸になるのは和奈のその感情です。私はそう読んだ。
その感情は言ってしまえば「他人と比べてどうこう」って話で、和奈だけでなく和奈がバイトとして画面越しに会話をする少女もその感情によって苦しんでいて、読みながら私はふと“コンサートのチケットが当たったというツイートに対して落選した人の気持ちを考えろというコメントが届く”という現象を思い出しました。まあちょっと違う気がするけど。
和奈が「特別」だと思う最たる理由である美令と更紗がそれぞれ抱える事情は終盤になって明らかになるんだけど、最後の最後に和奈が二人に対してどんな感情を抱いていたかを素直に話し、そしてタイトルの意味がわかる流れは美しかった。流れとしても画としても。成長する若者の物語はいいですね。