三浦 明博『集団探偵』

集団探偵

集団探偵

主人公は就職を機にシェアハウスに入居することにしたが、そこには住人は探偵活動に参加するというルールがあった。ってなことで、癖のある住人達が人知れず事件を作ったり解決したりする連作集です。
設定だけなら珍しくもなんともない、舞台がシェアハウスであることも相まってなんなら食傷気味ですわ・・・ぐらいの感じですが、この作品の特徴は登場人物たちに誰一人として人間的魅力が感じられないところにあります。嫌なヤツとかそういうことではなくて、キャラクターそのものの魅力がさしてないんです。そこが面白い。
これ決して悪口じゃないんです。“あえて”と言っていいのかそれすら判らないわけですが、普通なんですよね。確かに癖はあるんだけど普通の範囲内。この手の作品ってあれもこれもゴテゴテくっつけたキャラクター性ありきであることが多いのに、これは普通の人たちが「探活」と称してシェアハウスでの人間関係を築いている話でしかないんです。その「でしかない」ところが面白かった。