『レ・ミゼラブル』@帝国劇場

無事帝国劇場公演の幕が下り、相葉アンジョルラスの成長を見続けるわたしの約3か月間もついに終わりを迎えました。

相葉アンジョルラスの千秋楽までしっかり見届けた直後は満足感と充実感でいっぱいでしたが、もう「次(の公演を観る予定)」はないんだなと思うとやっぱり喪失感のようなものはあるなぁ。名古屋は行く予定だけど遥か先だし。

いやでもほんとものすごい充実感はある。18公演というのが多いのか少ないのかわかりませんが(劇場で漏れ聞くレミゼファンの方々の会話からして20公演オーバーのひとザラにいるもんね)行ける限り行けて、行ききれて、初めてのレ・ミゼラブルを堪能しきった感でいっぱいです。
何回観てもぜんぜん飽きないのね。飽きる瞬間がまったくないし、何回観ても感動は色褪せない。何度見ても何度見ても素晴らしい。
初日を観終えたあとの感想でも書きましたが、レ・ミゼラブルという物語の力、歌声が伝える愛と情熱に、感動し続けた日々でした。

正直言うと、6月の終わりあたりから相葉アンジョとかどうでもよくなってたよね。どうでもよくはないけど、相葉っちを観に行くのではなくレミゼを観に行くってな心持ちに変わってた。

わたしは視野が狭く舞台上にお目当てキャストがいるとその人しか見ない客だったりするので(だから同じようなタイプの友人と一緒に観劇すると違うものを見ていたのではなかろうかってぐらい感想が噛みあわないことがありますw)、これはわたしにとってものすごくすごいことで、なんなら初めて「舞台」というものを「観た」んじゃないかってぐらいこれまでとは違う時間を過ごした感がある。『作品オタク』の気持ちがほんの少しわかった。

とは言えやっぱり相葉アンジョルラスを見てました。レミゼを観てるけど、だってそこに相葉っちいるからねw。
7月に入ってからの相葉アンジョの成長はすごかった。
今思えばだけど、開幕から1か月ぐらいはとにかくアンジョルラスとして「歌うこと」「演じること」に精一杯で、アンジョルラスとしてはともかく相葉裕樹として周りを見る余裕なんてなかったんじゃないかな。それが孤高の革命家という印象に繋がっていたんだと思うのだけど、7月に入ったあたりからその印象がぐんぐん変わっていったんですよ。言ってることやってることは変わらないんだけど厳しさのなかに“相手を思う”気持ちがみえるようになって、言ってることやってることは変わらないのに孤高感、一人で立ってる感がなくなったんですよね。

それまでも革命であり希望を体現するような気高く凛々しく美しいアンジョルラスではあったけど、「それだけ」であったように思う。今思えばね。そのまるで次元が違うがごとき存在感はそれはそれで大層素敵だったけど、そこに感情というものが目に見えて伝わってくるようになって、相葉っちが演じるアンジョルラスという人間にベタな表現だけど血が通ったと思う瞬間があって、これこそが相葉裕樹のアンジョルラスなんだと思えたその瞬間は鳥肌通り越して本気で身体が震えた。

相葉っちがブログに書いていた

当たり前かもしれませんが、相手が違えばリアクション、発する語気の強さ、距離感や間の取り方も変わる。身体のコンディションや、感じ方も日々様々。

それによって自分自身も変化するんですよね。




頭でこうして、あぁして、と言うよりもその場で生まれる瞬間が本当に楽しい。

それが良いか悪いかは日々ありますが、確実にそこに存在して役として「生きている」実感があります。


これ、まさにこれ。この「生きている」実感が客席まで届くようになった。

いつからなのかはっきりとはわからないんだけど(気がついたらそうしてた)撃たれたガブローシュの身体を受け止め、捧げ抱くようにしながらグランテールに預けたあと、市民はおまえらのことなんて構わず寝てるぞと言う警察の言葉を聞きながら天を仰ぐようになってわたしはこのときのアンジョルラスの後ろ姿がこの舞台の中で一番心に残っているのですが、なぜならこの後ろ姿、この背中がまさに『虚無』で、それまでにあったであろう希望や理想や怒りや失望や諦念や絶望といったあらゆる感情が全てその背中からこぼれてしまったようで、この背中が最もアンジョルラスという人間を表しているようにわたしには感じられたから。

歌や表情(演技)からだけではなく背中から伝わってくるものがある。身体そのものから役を感じられる。

もう10年以上見続けてきてるけどこんな相葉っちは初めて見たし、正直言って相葉っちがここまでのレベルに到達するとは思ってなかった。
これが『帝国劇場に立つ』ということなのだろう。一流揃いのキャストの中でこれだけ力のある作品をこの劇場で演じること。相葉っちが目指していた「帝劇に立つ」ことの意味であり意義をわたしはやっと理解できたように思う。キャスト千秋楽の挨拶で「これからも精進していきたい」と真摯に語る相葉っちはこれまでのキラキラとはまた違う輝きを放っていました。その両足で帝国劇場の舞台にしっかりと立ってた。
あらためて、このひとのファンを続けてきてよかった。わたしにレ・ミゼラブルを見せてくれてありがとう相葉っち。