『夏目漱石の妻』

改めて言うことじゃないですが、言わなくてもわかってることでしょうが、でも言いたい。言わせてください。



長谷川博己って最高だよな。



わたしはクローディオだろうが大島さんだろうが、鈴木先生だろうが尚之助様だろうが三郎だろうがチャオだろうが、高等遊民だろうが内閣官房副長官だろうがもれなく博己くん最高ギャヒイイイイイイッン!!ってなる激安女ではありますが、いつもにも増してこの夏目漱石を演じる長谷川博己の質感はハマりすぎてて最高です。佇まいというか物腰というか、そううものが世界観時代感にバシっと嵌ってて、それでいて知的な変人オーラ(浮いてる感じ)もしっかりあるとかこれは期待をはるかに超えるギャヒイイイイイイイイイイン。
(精神の病であることはこの時点ではまだわからないから)それまで夫としてはクズすぎんだろと思わせてたものを、家族の縁が薄い所為か素直になれないと、でも“家族がいない僕にも弁当を届けてくれるひとがいる。寂しくて顔を見に来てくれるひとがいる”ことの喜びを知ったと語ることでそれを一気に払拭し、さらに「お馬鹿だね」というトドメの一撃を放つこの剛腕よ!!。
それが『夏目漱石』という文豪に対するイメージと合致しているかどうかは別として、インテリでありながらクズに説得力を持たせ、コミュ障のこじらせっぷりに説得力を持たせ、でも「お馬鹿だね」という台詞に全力でときめかせることができるのは長谷川博己をおいてほかにいませんっ!!。
嫁のためを思えば実家から連れてきたお手伝いさんがいたほうがいいだろうし、自宅に学生を招くつもりならその世話をする手は多いほうがいいだろうになんで東京に帰しちゃうんだろう?と思ったら、ざっくり言っちゃえば羨ましいからだとかなにこの不器用すぎる人間・・・っ!。
夫婦のことを「いい」「わるい」で判断するのは単純だし強引かもしれませんが、この時点では確実に金之助が「わるい」よね。だから変わるべきなのは金之助のほうなのに、あんな顔あんな口調で僕にも弁当を届けてくれるひとがいるんだなんて言われたら放っておけなくなっちゃうじゃん!「お馬鹿だね」とか言われたらギュンギュンときめきながら「わたしは馬鹿です」って言うしかないじゃん!!。この問答無用な説得力ですよ!!。
ていうかさぁ・・・ほんと精神的DVよね・・・(わたしはこの手の男に心底弱い)。
でもこれ精神的じゃ留まらないのよね・・・。
鏡子の飛び込み事件を「鏡子さんは毎日一人だった」というナレーション以降、演者の表情(演技)だけで描ききったことからしてシリアスなパートは思いっきりとことんシリアスで攻めるつもりなんだと思うのだけど、だとしたらこの先に目を背けたくなるような場面もあったりするのであろうわけで、見ているのが辛くなるんじゃないかと不安になるけど、でも妻がオノマチであることは救いになりそう。オノマチが演じるこの鏡子だったらどんなに酷いこと言われてもひどい目にあっても大丈夫だろうという強さがあるので(いざとなったら博己くん金之助を殴り倒しそうだもんw)。