ずっとずっと新感線の舞台に「今の斗真」を出して欲しいと、真ん中でなくてもいいから(むしろ真ん中でないほうが面白いのではないかと)「今の生田斗真」に新感線の舞台に立ってほしいと、そう思い続けていたので(かずきさんの脚本ではないけれど)ついに斗真×新感線を観ることができるんだわっ!!と、この企画が発表になったときは飛び上がって喜んだし、ヴァンパイアでビジュアル系バンドのボーカルというまるで斗真のための設定どんピシャのキービジュアルが公開されたときは血反吐だすほど興奮しましたが、実際に観たら正直に言うと・・・・・・・・・ちょっと期待外れでした。
面白いか面白くないかと言えばぜんぜん面白いし、好きか嫌いかと言えば好きです。
だけどわたしがずっと待ち続けた、期待し続けた『新感線に出てる斗真』ではなかった・・・・・・・・・んだよなぁ。
その理由は明らかで、最初に書いたけどつまり『中島かずきの脚本ではない』から。やっぱりそこ。
始まるまえはとくに中島脚本でということに拘ってるつもりはなかったんだけど(むしろいのうえ演出のほうが大事だと)、わたしが観たかったのは『中島かずきが生田斗真のために描いた物語(キャラクター)を演じる生田斗真』だったんです。観終わってそのことに気付いた。
パンフレットでいのうえさんがこの舞台について「斗真でヴァンパイアものをやりたい」ってのは10年前から考えていたと語ってらっしゃいまして、でも10年掛かってしまったことに対し
ただ、10年を無駄にスケジュール待ちしていた訳ではない。結果的に、この舞台の為には、むしろこの10年間が必要な準備期間だったのではないか。斗真本人も、あらゆる現場で鍛え上げられ、あらゆるシチュエーションにも即座に自分の見せ方で対応できる、とてもいい役者になった。もともと勘は良かったが、軽いのに鋭く芯がある彼の演技に華やかさとある種の的確さが加わった。色んな役で見てみたいと思わせる幅広さを感じさせるのだ。
とあって、これには全力で頷けるんですよね。10年という期間“準備”してただけあって、斗真の「上手さ」はすっごくわかる、伝わる役ではあるんです。でももっと、もっとやれるだろう斗真!!と思ってしまう。
というか、わたしが新感線の舞台に立ってる斗真に求めていたのは「上手さ」ではないんです。全力でメーター振り切ってるぶっ壊れた斗真が観たかったんですよ。それが出来るのは新感線の舞台上でだけだと思ってるから。
生田斗真という俳優は作品においての自分の役割、立ち位置を見定め、共演者のソレにあわせるバランス感覚に優れているとわたしは思っているのですが、その力は今回座長としてしっかり発揮されてるんです。いつも以上に個性的な客演と劇団員さんたちを文字通り“繋いでる”のは間違いなく座長・斗真なんです。それが今回斗真に任された役割なのでしょうが、そのために斗真自身はちょっと抑え気味にしてるように感じられちゃったんだよなぁ・・・。
斗真演じる藤志櫻(TOSHIRO)が1対1でぶつかる相手はほぼ客演キャストで、小池栄子さん以外は新感線初参加だからか斗真が“支える”“受ける”芝居をしてるように感じられて、それはまさに「今の斗真」だからこそ、10年の経験があるからこそできることだしそれが座長としての斗真の役割だってことはわかるんだけど、やっぱり古田新太や橋本じゅんに全力でガチンコ勝負を挑む生田斗真が観たかった。古田新太に生田斗真が全力でぶつかるための話を中島かずきに書いて欲しかった。それゆえの「期待外れ」です。とことん強欲ですまん。
とはいえ「期待以上」のこともありました。中村倫也くんです。
倫也くんにもわたしは斗真と似たようなクレバーさを感じていて、映像はもちろん舞台でも自分の役割をきっちりこなす安定感を信頼しているのですが、この舞台では斗真が支えてくれているからなのか周りに合わせる気まったくないんですよ(わたしにはそう見えた)。倫也くんは藤志櫻が千年間探し続けた「かぐや姫の生まれ変わり」で「半グレのボス」である京次郎というどこのラノベだよ(笑)ってな役なのですが、舞台上でその背景が描かれることはないんですよね。当初かぐや姫の生まれ変わりは別の人物だと思われていて、京次郎も自分がそうであるという自覚は全くなかったのに、千年もの間ふんどし姿で冷凍保管されていた恋人を見た瞬間“かつての記憶”が蘇り、自分の「敵」である藤志櫻と殺し合うってのはいいんだけど、なんで半グレやってたのかとか、自分がかぐや姫であったことについてどう思うのかとかそういうことが掘り下げられることはないんです(そもそも藤志櫻がTOSHIROとしてビジュアル系バンドやってることについてもノー説明)。そういうのすっ飛ばしていきなりトップギアにもっていくんだけど、なんか説得力あるんだよね。どんな人生を生きてきての今なのか、材料がなさすぎるからそれを具体的に想像することはできないんだけど(妄想はできます!)、それでも京次郎という人間になんか説得力があるの。それはTOSHIRO(藤志櫻)VS京次郎(かぐや姫)への説得力であり、理由になる。
千年生き続けてるヴァンパイアと人間に寄生しながら生存し続けるエイリアンの戦いというフワッフワした設定に説得力が生まれちゃうんですよ。
ていうか銀髪のヴァンパイア仕様の生田斗真にビジュアルで負けてないとか!!!。
この設定このメンツのなかで倫也くんがどんな役どんなポジションになるのか全然予想つかなかったんだけど、半グレモードもアイドルモードもビジュアル含めカッコいい美味しすぎてなんでわたしもっと早くから、なんなら初日から観なかったんだって何か月か前の自分をぶん殴りたくなりましたわ。
そしてそしてこれだけ褒め称えた中村倫也くんを従えるのがインテリヤクザ粟根さん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ストライプスーツに銀縁眼鏡にオールバックな粟根さんがふっつーにカッコよすぎてふっつーにときめきましたわ。
この舞台上でいちばんカッコいいの粟根さんとか意味わかんないでしょうがほんとだからね?好みのタイプは「インテリヤクザ」なわたし太鼓判押せます!!!!!!(パンフを見て!絶対見てそして買え!!!)。
粟根さんを筆頭に劇団員さんたちはいつもながらの適材適所かつ比較的出番も多かったんでその点は満足だし、小池姐さんを筆頭に客演の方々もそれぞれ与えられた役柄をものの見事に演じきってて(とくに徳永ゆうきさんという方が・・・・・・なんていうか・・・・・・すごすぎたw)、ていうかもう斗真と小池姐さんが構えあうラストカットとか失禁レベルのカッコよさでまじまじ小池姐さん最高で最強な!!!だし、この時系列が入り組んだ雑多な話をテンポよく見せてくれるいのうえさんの演出もさすがの一言なんですが、それだけに、それだけに斗真(の使い方)に物足りなさを感じてしまうのが・・・。
というわけで、斗真に対するこの心残りは髑髏イヤーで払拭してくれることを願います!!!!!。