『キンキーブーツ』@新国立劇場 中劇場

このあと大阪公演をやってから東京で凱旋公演が行われるので、ちゃんとした感想は凱旋公演を観終えたところで書きたいなーと思ってますが、とりあえず・・・


面白かったあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!


折に触れ何度か書いてますが、わたしミュージカルってさほど好んで観るわけじゃないんですよね。ストレートプレイのほうが断然すき。
その理由は、ミュージカルって完結してる要素が多いと思うからなんです。ミュージカル最大の特徴はもちろん「歌うこと」にあるわけだけど、登場人物が「歌う」ことに対して、解釈の余地ってあまりないと思うんです。技術としての上手い下手とか歌声の好き嫌いはあれど、「曲」があってそれを役者が「歌う」とこの人は今どんな感情を抱いているのか、そこを考える、考えさせられる余地ってないよなーと。これこれこういう想いなんですってことを歌として伝えられるともうあるがままを受け入れるしかない。ミュージカルにおける「歌」ってのはそれぐらい意味であり力のあるものだと思うわけで、だからミュージカルの楽曲って素晴らしいとは思うんだけど、でも、でもでもわたしはそこに物足りなさを抱いてしまうことがあるんですよね。というか舞台上で描かれていることに対しごちゃごちゃ考えたいんです。考えることが楽しいんです(だからミュージカルでもヘドウィグ・アンド・アングリーインチとかスリル・ミーとか、あと最近観た中ではラディアント・ベイビーとか比較的考察できる作品は大好き)。それをわたしは今年の魔の7月に「BENT」と「レディエント・バーミン」という2作品を続けて観たことでより強く意識しました。

で、この作品。この作品は考える余地皆無。
『なりたい自分になれ』『あるがままの他人を受け入れろ』『自分が変われば世界も変わる』
このメッセージを伝えるために、届けるために、なんのひねりもない真っ直ぐな物語がシンディーローパーの楽曲に乗せて描かれる。そこにはなんの疑問も生まれない。(展開的に「ん?それってどうなの?」と思うところがなくはないけど)観たまんまのドストレートな物語。
だからわたしの好きなタイプの作品ではないはずなのに、面白かった。なんにも考える必要なんてない単純な物語なのに、めちゃくちゃ面白かった。なんかね、ここまで単純だと逆に気持ちよくなるんだね。目の前で踊り狂うローラとエンジェルズを観てると頭空っぽになってきて、それが最高に気持ち良かった。

もうなにもかも楽しい。なにからなにまでぜんぶ楽しい。目も耳も楽しくて、楽しくて楽しくてちょっとおかしくなりそうでした。

そしてこの物語を引っ張るドラァグクイーンのローラ。三浦春馬のローラが素晴らしくて。
なんという肉体美。身体のみならず心もバッキバキに逞しい三浦春馬が最高に最強で!!!。
基本勤勉なわたしはこの作品を観るにあたって事前に映画版を見て予習しました。だから「ローラ」が見た目を含めどんな人間なのか、ある程度の下地・土台を持った状態で劇場に足を運びました。

そしたら思った通りのローラがいた。

ゲイでもオカマでもオネエでもない、色物なんかじゃない完全に完璧な『ドラァグクイーン』がそこにいた。

わたしも最初にそう書いたけど、この三浦春馬を称して「素晴らしい」とたぶんあちこちで言われてると思う。それはきっと見事な身体を布面積の少ない衣装に身を包み(つまり肌の露出が多め)ながら『思ってたよりも』歌が上手いとか『思ってたよりも』踊れるんだとか、そんな感じの『素晴らしい』なのではないかと推測しますが、それについては異を唱えたいんです。
『春馬は元々歌上手いし踊れるんだからねっ!!!!!』と。

そのうえで、
キンキーブーツという作品に出演することになり、春馬自身がローラを演じることを希望し(以前から希望していて)そのためのレッスンもしていたと知り、ああ、春馬がそれだけ本気ならばすごいものを見せてくれるだろうと、そう確信してましたわ。予想でも期待でもなく確信だよ。春馬なら確実にやってくると。で、いざ観たらわたしの確信をはるかに超えたローラがいるでやんの。つーか春馬かよこれ!?と。
これまでずっと春馬を見てきたからわかる。春馬がどれほどの努力をしたのかということが。

いや、正確に言えば「どれほどの」努力をしたのかはわかりません。東京千秋楽のカーテンコールで、ラストシーンからずっとキンキーブーツを着用し続けてる小池徹平くんが最終的に「足痛いんで・・・(だからもうこれ以上のカテコは勘弁してください><)」と泣き入れてたけどw、それぐらい履きなれてない男性がピンヒールを履くことは辛いことなのだろうと想像はできるわけで、それであれだけ踊れるようになるには、あれだけカッコよくキメられるようになるにはどれだけ苦痛に耐え努力したのだろうかと、想像してもしきれない。
つまり観たことがない三浦春馬がこの舞台上にはいたんです。
これまでもすごかった三浦春馬なのに、これまでとは全然違う三浦春馬になっちゃったんです。
それはまさに『自分が変われば世界も変わる』。
この舞台の三浦春馬はそれを体現してるんです。
繰り返すけどほんとうに楽しくて幸せな気持ちになれる作品だし、この三浦春馬が演じるローラ率いるエンジェルズたちのパフォーマンスはマジ必見なんで(ブーツはもちろん衣装もぜんぶすっごい可愛いのー!!もうこれ(を着てる綺麗な身体)を見てるだけで幸せになるから!!)、まだまだ続く公演をぜひ観たほうがいいよ!!。ここまで自信をもって誰にでもおススメできる作品ってそうはない!!。