山下 貴光『となりの女神』

となりの女神 (novella*1200)

となりの女神 (novella*1200)

風景であり人物であり心情が、あえて曖昧というかふわふわした感じで描写されていて、それが“無人島”の非現実感となっている一方で、猿が抱えているものも山犬が背負っているものも、それから幽鬼の想いも、それらはとても現実的。だから祭りのシーンではなく、幽鬼と夕星がボールを投げ合ってるシーン、こここそがこの物語のクライマックスなのだと思う。