奥田 英朗『沈黙の町で』

沈黙の町で

沈黙の町で

帯に『事故か、自殺か それとも――  転落死した男子中学生をめぐって、被害者遺族、加害者とされる少年たちとその親、学校、警察までを巻き込んでそれぞれの感情と思惑が錯綜する』とありまして、つい先日ようやく読み終えた宮部さんの作品と内容モロ被り!?と驚いたものの、もちろん全く違う、読後感なんてまさに真逆の作品でした。
もうね、「胸糞悪い」の一言です。
でも現実はこんなもんなんだと思う。というか生徒たちの感情も、親たちの思惑も、警察と学校の事情も、こんなもんだよなーってすごく理解ができる。死んだ少年に対する生徒たちになんて感情移入できちゃうぐらいだもん。宮部さんの作品には全くそれができなかったことを思うと(それはそれで“読み物”としては最高に面白かったけど)同じような材料でもこんなに違う料理が出来るんだなーと、それがとても面白かった。我ながらナイスな流れで読んだものです(笑)。
そしてやっぱり私はダークな奥田英朗が好きだと改めて。